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業績報告書(TR) 4-90

原爆被爆者の子供(F1)における生後20年までの悪性腫瘍頻度

吉本泰彦,Neel JV,Schull WJ,加藤寛夫,早田みどり,江藤良三,馬淵清彦
編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。Am J Hum Genet 46:1041-52, 1990
要 約
原爆被爆者の子供及び適切な比較対照集団について、20歳時までの癌リスク発生率を決定した。腫瘍の確認は、死亡診断書及び広島・長崎で実施されている腫瘍登録事業に基づいて行った。本研究を行った理由は、網膜芽細胞腫、Wilms 腫瘍などの小児期の腫瘍の多くのものは、両親のいずれかから継承した突然変異遺伝子に加えて、その対立遺伝子に体細胞突然変異がその後加わった場合に起こるからである。新しく導入されたDS86線量体系に基づいて生殖腺線量を計算した。また、片親あるいは両親のDS86線量が計算できなかった子供たちについては、種々の情報に基づいて暫定的な線量計算により補足した。調査は、1)両親の一方又は両方が原爆時に 0.01Sv以上の放射線に被曝し(合計生殖腺線量の平均値 0.435Sv)、その後に生まれた子供 31,150人、及び 2)合計 41,066人で構成される2つの適切な比較対照集団のデータを用いた。20歳未満の癌患者は合計で 92症例確認され、0Sv群及び 0.01Sv以上の被曝群でみると各々 49例及び 43例であった。多重線形回帰解析の結果、被爆者の子供に悪性腫瘍の増加は認められなかった。しかし、比較対照集団では観察された小児期の腫瘍のわずかに 3.0%−5.0%程度が、親の突然変異率増加によって腫瘍発生頻度に変化の期待される遺伝学的素因と関連した腫瘍であることがデータから示唆された。このように、マウス系統について Nomura が得た陽性的な知見はこれまでのところ確認できなかった。