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業績報告書(TR) 1-91

原爆被爆者の子供(F1)における死亡率,1946-85年

吉本泰彦,Schull WJ,加藤寛夫,Neel JV
編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。J Radiat Res (Tokyo) 32:327-51, 1991 ; J Radiat Res (Tokyo) 32S:294-300, 1991
要 約
両親またはその一方が広島あるいは長崎で原爆に被爆し、親の合計生殖腺線量が 0.01 Sv以上であった子供 31,159人の集団とその比較対照集団の 41,069人について、1946−85年の間に認められた死亡の比較調査を行った。被爆した親の平均合計生殖腺線量当量は 0.435 Svであった。生殖腺線量は、最近確立されたDS86システムを用いて算出したが、両親またはその一方のDS86線量が計算不可能であった子どもについては暫定的なシステムを適用した。1985年末までには、1946年生まれの対象者は 39歳になったが、1966年から1984年までに出生した者はまだ 0歳に達していなかった。調査集団の生存者の平均年齢は28.8歳であった。

線形相対リスクモデルをデータにあてはめると、腫瘍を除く疾病の死亡リスクには親の被曝に伴う統計的に有意な増加は認められなかった。中性子のRBEを20と仮定すると、DS86線量が計算されている者の過剰相対リスクは 1Sv当たり 0.030(±0.046)であった。致死的癌についても、同じ集団における 20歳未満の癌発生率に関する前回の報告と同様、親の放射線量の増加に伴う統計的に有意な影響はやはり認められなかった。最後に、特に集団の加齢が進行するに伴って、ポアソン回帰分析及び死亡リスクに関する観察人年を用いた現在の方法がより適切と思われるが、F1集団のこれまでの死亡率に関する解析は、親の線量に対する死亡頻度の単純な線形回帰に基づいて行われているので、従来と一貫性をもたせるため、今回相対リスク推定に用いたデータにこの単純な線形回帰モデルもあてはめた。その結果、切片は 0.0420(±0.0015)、1Svの線形回帰係数は 0.00169(±0.00157)であった。これを用いると、過剰相対リスクは 0.040(統計的に有意でない)となり、相対リスクモデルを用いて得られた過剰リスクとよく一致する。DS86線量群だけでなく暫定線量を与えた群を含む全集団について解析を行った場合でも、DS86線量群に限定した解析とほぼ同じ結果が得られた。