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業績報告書(TR) 8-91

広島・長崎の住居におけるラドン濃度

青山 喬,Radford EP,米原英典,加藤寛夫,阪上正信
要 約
広島・長崎で屋内ラドン(222Rn)濃度調査を実施し、原爆被爆者の予想される被曝量の変動を評価した。この調査のために主として寿命調査対象者の家屋 200戸(各市100戸)を選んだ。米国Terradex社製検出器SF型と米原らが改良したベア法飛跡検出器の2種類のα線固体飛跡検出器を用いた。比較測定は、2つの検出器を用いて得た値には相関関係は十分あったが、ベア法検出器を用いて得た幾何平均値は Terradex検出器の値よりも 45%小さいことを示した。この差は、校正方法と検出器のトロン(220Rn)に対する感度の差によるものと考えられた。

Terradex SF型検出器により測定された広島 193か所および長崎 192か所のラドン濃度の幾何平均値はそれぞれ 51.8 Bq/m3、26.5 Bq/m3であった。この大きな差は両市の地質学的環境の差によるものである。屋内ラドン濃度に相関する因子についても調べた。幾何平均濃度は、土壁の木造家屋のほうが他の建築タイプの家屋よりも有意に高かった。この傾向は、特に広島で顕著であった。

過去30年間の広島と長崎の家屋のラドン娘核種による被曝の線量当量の推定値の差は 0.8 Svになるかもしれないが、両市における低線量域の肺癌死亡率には統計的に有意な差は見られなかった。しかし、この調査で推定された屋内ラドン濃度が原爆被曝の線量反応関係に有意な影響を及ぼすことはありうる。