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業績報告書(TR) 10-91

長崎原爆被爆生存者の皮膚癌発生率調査, 1958-85年

貞森直樹,大竹正徳,本田武夫
要 約
長崎寿命調査拡大集団(LSS-E85)の被爆者コホートの皮膚癌発生に関する電離放射線被曝の影響をDS86線量を用いて検討した。DS86線量が付与された 25,942人の被爆者のうち、1958年4月1日から1985年12月31日までの期間に悪性黒色腫を含めて 47の皮膚癌症例が長崎腫瘍登録で確認された。加算的相対リスクモデルに基づいた皮膚癌についての線量−反応関係はしきい値のない線形であり、線形−二次曲線形ではなかった。LSS-E85集団の過剰相対リスクはグレイ当たり 2.2で、95%信頼区間グレイ当たり 0.5−5.0の範囲で高い有意性が認められた。更に、AHS集団の過剰相対リスクはグレイ当たり 3.1で、95%信頼区間グレイ当たり 0.6−20.3の範囲で有意であった。中性子RBEを10として線量当量を用いると、LSS-E85集団の過剰相対リスクはシーベルト当たり 2.0(95%信頼区間 0.7−4.5)に、また、AHS集団の過剰相対リスクも同様にシーベルト当たり 2.7(95%信頼区間 0.6−17.8)に減少した。LSS-E85及びAHS両集団において男女間の過剰相対リスクに有意差はなかったが、被爆時年齢及び被爆からの時間的変化についての過剰相対リスクに有意に高い増加を認めた。悪性黒色腫の4症例を含む場合と含まない場合の皮膚癌症例における過剰相対リスクは、LSS-E85集団においてほとんど同じ線形線量−反応を示した(AHS集団では悪性黒色腫症例はなかった)。これは原爆被爆と皮膚癌に有意性の高い線量−反応が証明された初めての報告である。