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業績報告書(TR) 15-91

原爆被爆者における死亡診断書および剖検死因分類の一致率向上のための診断分類の結合,1950-87年

Carter RL,Ron E,馬淵清彦
要 約
死亡診断書による診断と剖検診断とは、ほとんどの特定死因についてだけでなく、それらの死因を主要疾患群にまとめた場合でさえも、さほど一致しないことがいくつかの研究で認められている。広島・長崎の原爆被爆者の寿命調査集団で、1987年9月以前に剖検を受けた 5,130人のデータを改めて検討した結果も、同様に思わしくなかった。観察例数が 10例以上であった疾患についてみると、確認率は 13%から 97%、検出率は 6%から 90%の範囲であった。確認率および検出率がともに 70%以上であったのは、調査した 60種類の疾患中わずか 6疾患であり、国際疾病分類(ICD)の大分類別にまとめた 16の疾患分類中わずか1分類群(新生物)だけであった。このような低い一致率は、死亡診断書の診断に基づく調査結果の解釈にあたって十分な注意が必要であることを示唆するものである。診断をどのような分類群にまとめればまずまずの精度が得られるかを決定するために、対象者 5,130人のデータに段階的集積法を適用した。その結果、分類方法として、乳癌;女性のその他の癌;消化器系癌;喉頭癌;白血病;鼻と耳と副鼻腔の癌;舌癌;外因死;血管疾患;およびその他のすべての死因の 10種類の分類を得た。これらの疾患分類群の確認率および検出率は少なくとも 66%であった。この分類群の幅は、特に非腫瘍性の疾患については広範囲にわたっているが、これ以上細分類すると精度が下がるものもでてくる。このようにして得た分類方法を用いたときの死亡診断書と剖検診断との一致率が全体として 72%であったのに対し、主要疾患分類に基づく別の厳密な分類方法による一致率は 53%であった。血管疾患を他のすべての非腫瘍性疾患にまとめた同様の分類方法では、87%の一致率が得られた。これ以上に大きくまとめても一致率の向上はほとんど見られなかった。上記の 10種類の診断分類群の中には、各種の共変量によって精度が変化するものがあった。例えば、これらの分類群のほとんどは、死亡年齢の増加とともに精度の低下を示した。したがって、母集団全体に比べて精度が良かったり、悪かったりするような副次集団が存在する。以上の結果は、今後の死因別死亡調査においてどの疾患もしくは集団を調査対象とすべきかを必ずしも示すものではないが、調査の企画、データの分析および結果の解釈に有用な情報を研究者に提供するものである。