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業績報告書(TR) 6-92

原爆胎内被爆者の放射線に関連する小頭囲

大竹正徳,Schull WJ
編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。Int J Radiat Biol 63(2):255-70, 1993
要 約
広島・長崎胎内被爆者集団は胎内被爆臨床集団と呼ばれ、DS86線量が利用可能な 1,566例(広島1,242例と長崎324例)から構成される。この研究対象者のうち、出生後 9歳から19歳までの期間に少なくとも一度頭囲を測定したのは、1,473例であった。この 1,473例中、62例が測定時の年齢別平均値より標準偏差の2倍以上小さい頭囲であった。既に確認された重度精神遅滞の 30例中、26例がこの対象集団に含まれている。この重度精神遅滞 26例中、15例(58%)が小頭囲であった。ほとんどの小頭囲例(86%)は妊娠第一および第二3か月齢の被爆者であり、前者は 55%を占め、後者は 31%を占めている。

閾値の存在する場合と存在しない場合の種々の線量反応関係を、被爆時の妊娠3か月齢群または胎齢(排卵後の週齢)群別グループデータに適用した。異常な小頭囲者の頻度に対する放射線の有意な影響は、妊娠第一と第二3か月齢および排卵後 0−7週齢と 8−15週齢においてのみに認められる。排卵後 0−7週齢の小頭囲のリスクは線量増加と共に有意に増加したが、この時期の重度精神遅滞のリスク増加は認められなかった。妊娠第三3か月齢または排卵後 16週齢以上の被爆者には小頭囲の過剰リスクはなかった。

線形または線形−二次線量反応関係のいずれかに基づいた閾値の推定値はゼロかその近傍であった。閾値が明らかに欠如していること、また、障害を受けやすい期間が幾分異なることは、小頭の発生と精神遅滞の発生に関して発生学的な差異があることを示唆する。平均IQ(古賀テストによる)とその標準偏差(SD)は、小頭囲である重度精神遅滞例では 63.8と 8.5であり、小頭囲でない重度精神遅滞例では 68.9と 11.9である。小頭囲のみの症例のこれらの値は 96.4と 19.8である。全集団の平均IQ値とSDは、それぞれ 107.8と 16.4である。上述の最初の2つの平均IQ値間に有意差は存在しないが、この両IQ値は重度精神遅滞でない小頭囲例の平均IQ値より有意に低い。重度精神遅滞でない小頭囲例の平均IQ値と全集団の平均IQ値間には統計的有意差はなかった。小頭囲と身長、体重、座高および胸囲などの四つの人体計測値との関係も論じる。