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業績報告書(TR) 16-92

電離放射線被曝後,長年月を経過した被曝者の転座頻度の迅速分析について

Lucas JN,阿波章夫,Straume T,Poggensee M,児玉喜明,中野美満子,大瀧一夫,Weier HU,Pinkel D,Gray JW,Littlefield LG
Int J Radiat Biol 62(1):53-63, 1992
要 約
電離放射線被曝者の末梢血に存在する転座のゲノム当たりの頻度を測定するために、全染色体プローブ(個々の染色体全域にわたるプローブ)を用いた 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法の有効性について分析した結果を報告する。第一に、FISH法によって得られた転座頻度(Fp)から、ゲノム当たりの転座頻度(FG)を求めるための関係式 Fp=2.05fp(1−fp)FGを導いた。ここで fp は全染色体プローブで染色されたゲノムを表す。以下に示す諸事実から、この関係式の正当性が証明された。すなわち(a)この式から予測される転座識別効率は、fp値が変わっても、実験値に対して一定である。 (b)in vitro照射実験から、FISH法による転座頻度に関する線量反応曲線が、通常の染色体分析法による dicentric 頻度の線量反応曲線と良く一致する。また、 (c)広島原爆被爆者 20例、および Y-12原子炉臨界事故による電離放射線被曝作業者4例の分析から、FISH法により推定されたゲノム当たりの転座頻度と、Gバンドによる転座頻度とはほぼ同じであること、などである。FISH法による転座頻度の線量反応曲線は、広島原爆被爆者と培養開始後第一分裂期のリンパ球に対する in vitro 照射実験との間でほぼ同じであることも証明された。被曝と分析の間の時間差とは関係なく、急性放射線被曝の影響を評価する上でFISH法を用いた転座頻度の分析が有用であるとの結論に達した。