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業績報告書(TR) 19-92

原爆胎内被爆者の身長の成長・発育に関する縦断的研究

大竹正徳,藤越康祝,Schull WJ,和泉志津恵
要 約
成長曲線分析を利用して、10歳から18歳まで繰り返し測定した身長の9変量、および DS86子宮吸収推定線量と受胎年齢(週齢)の2共変量、あるいはDS86子宮推定線量、DS86子宮推定線量の2乗と受胎年齢の3共変量のいずれかを用いて、455人について原爆被爆による発育遅滞を検討した。市、性、DS86線量および受胎年齢別に種々の比較を行った結果、最も大きな有意差は男女間に見られた。しかし、線形−二次(L−Q)線量反応に基づいた分析では、被爆時期が全妊娠期間群と妊娠前期群の男性を除いて、広島と長崎の男性間あるいは女性間に有意差はなかった。全妊娠期間群および妊娠前期・中期群に、DS86子宮吸収推定線量(Gy)による有意に高い発育遅滞を認めた。妊娠期間前期において、線形(L)またはL−Q線量反応に基づいたパラメータの推定値は、DS86子宮吸収推定線量(Gy)に関してすべて負であった。妊娠中期群のパラメータの推定値は、定数項に対して負で、L項またはL−Q項に対して正であったが、身長の発育成長はDS86子宮線量(Gy)に依存して明らかに減少傾向を示した。この正の推定値は線量の増加と共にわずかに対照群レベルに接近する傾向にある。有意差は、LまたはL−Q線量反応関係に関連した定数項を含む2または3パラメータの推定値の一つのセットが、有意にゼロから異なっているかどうかを調べる多変量検定統計量で決定される。放射線に関連した発育遅滞は、10歳から18歳まで繰り返し測定した身長の縦断的結果により明らかである。妊娠後期群への放射線の影響は、L反応モデルまたはL−Q反応モデルのいずれも有意でなかった。

男子の第二次発育成長の始まる最初の兆候(青年の急成長期)は、平均年齢で14歳のようである。この点から、10歳から13歳の704人および15歳から18歳の838人を繰り返し測定した身長の4変量について、線形線量反応関係に基づいた成長分析をそれぞれ行った。成熟期前と成熟期とに分けた試みは、対象者数が増加することによって統計的検出力を増加させる。この発育遅滞の影響が10歳から13歳において明らかに認められ、また15歳から18歳でも持続している所見は明白である。前者の発育遅滞は全妊娠期間群では高い有意差を認めたが、妊娠前期群では示唆的であった。他方、後者の年齢群では、妊娠前期群と妊娠中期群の両方に有意に高い発育遅滞を認めた。思春期において繰り返し測定した身長と出生体重との関係を、成長曲線分析で得られた結果に基づいて考察した。