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クロウ委員会報告書(ABCC業績報告書 21-75)

要 約
ABCC調査プログラムは、科学的にも、人道的にも極めて有用であり、困難な条件下で実施されたことを考慮すれば、その成果はいっそうの感銘を与える。新しい日米共同の指導のもとでこのプログラムは維持強化されるであろう。約20年間にわたって注意深く収集された膨大な資料により、放射線量とヒトにおける後発性の影響との間に従来未知であった関係が証明された。今後の調査により、特に特定の種類の癌の発生率、放射線誘発性新生物の動態、および突然変異の発生に関する重要な資料が引き続き得られる。このユニークな人口集団の調査は、胎内発育期または小児期に被爆した者が壮年期を過ぎるまで今後少なくとも20年間は継続すべきである。

この疫学的調査の卓越した成果は、Francis委員会の英知と先見の明を立証するものである。ABCCにおける調査では、それぞれの調査サンプルを明確に定義し、種々の程度の放射線を受けた群を注意深く組み合わせて系統的な縦断的観察を行うことによって、疫学的探索が高い水準に維持されている。

被爆者群に白血病の相対的危険率の著しい増加が早期に発見され、かつ、その危険率が線量に関連していると認められたことは、本症の理解を深める上に非常に有用であったばかりではなく、国内的および国際的な放射線基準を設定する上にも非常に貴重であった。白血病の発生率は今では下降を示しているが、一方ではその他の悪性疾患が増加してきた;非常に長い潜伏期を経て発生する悪性疾患があるか否かを確認するためにも調査が継続されることは極めて重要である。

初期に行われた被爆者の子供の遺伝学的調査では、一部に危惧されたほどの大きな遺伝学的影響は認められなかった;事実、被曝集団と対照集団の子供の間に有意な差はみられなかった。上記の観察結果は、このプログラムのいま1つの面を強調するものである:非常に多くの調査では、被曝集団と対照集団との間に有意な差を認めることはできなかった。その多くは多数の高線量被曝者を対象としていたので、その統計的精度は高い。陰性の結果は陽性の結果と同様に重要であることを強調したい。特に恐怖の先験的な根拠があった場合にはなおさらである。有意な差がないことの記述および測定結果の精度についての記述からは、放射線障害の上限を決定できる。この種の結論は、この調査から得られる最も重要な結果の1つである。
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