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長崎で第6回市民公開講座

長崎原爆資料館ホールで開催された第6回市民公開講座

 2015年11月28日(土)午後1時30分から5時まで、長崎原爆資料館ホールにおいて、第6回長崎市民公開講座を開催した。この公開講座は、原爆放射線の健康影響に関する放影研の長年にわたる研究の成果について、原爆被爆者や被爆二世の方々をはじめ一般市民の皆さまに情報を提供し、交流を促進することを目的としている。

 このたびの市民公開講座は、放影研で行ってきた調査研究の成果と福島とのかかわり、そして将来に向けた展望、更にその科学的知見が世界においてどう活用されているか、また、若い世代の放射線研究について、長崎の一般市民の方々に紹介するために企画したもので、100人を超す市民の皆さまにご参加いただいた。

 開会にあたり、丹羽太貫理事長が、「被爆70年の今年は、原爆被爆から得られた知見を次世代へ継承する大きな節目の年であり、それには多角的な議論が必要である。この公開講座においても、様々な経歴の方々、とりわけ若い世代の皆さまの忌憚のないご意見を賜ることができればと期待している」との趣旨説明を行った。

 最初の演者は原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)のマルコム・クリック事務局長が務め、「世界と放影研」と題して講演を行った。その中で「原爆被爆者および被爆二世の方々から得られた情報は将来の世代のための放射線防護基準を裏打ちする『ゴールデン・スタンダード(究極の判断基準)』であるため、放影研の研究はUNSCEARにとって、ひいては世界中の科学界にとって極めて貴重なもので、広島・長崎の原爆および福島の原発事故による放射線被曝は物理的には大きく異なるものの、社会的、心理的、人体への影響という点では類似点が見られ、客観性を損なわず全体的な視点でとらえることが重要だ」と説明した。

 次いで、「放影研の研究成果と福島との関わり、将来に向けた展望」と題して、放影研の児玉和紀主席研究員がこれまでの調査で判明した健康影響ならびに残された課題の概略、また、放影研が福島での原発事故以来行ってきた活動、特に昨年から放影研が中心となって実施している約2万人の東電福島第一原発緊急作業従事者を対象とした調査研究のあらましを紹介し、最後に、残された課題についての今後の展望を説明した。

 プレゼンテーションの最後は、福島県立福島高等学校の齊藤美緑さん、安齋彩季さんおよび原 尚志教諭による「福島県内外の高校生個人線量測定プロジェクト」と題する発表であった。半導体式個人線量計「Dシャトル」を用いて1時間ごとの放射線被曝線量を日時とともに記録し、個人の測定結果と生活記録を比較することで、いつ、どこで、どれほどの放射線を受けたのかを調べた研究発表に加え、福島が直面している困難な問題についても活動成果として説明し、福島の現状を科学的な事実に基づいて広く理解して欲しいとの思いを訴えた。この研究は福島県内外、更には海外の高校生との共同研究に発展し、研究成果は国内にとどまらず、フランスやイタリアでも発表されている。

 以上の講演や発表を踏まえて、寺本隆信業務執行理事の司会で、フロアーとの質疑応答が行われた。 なお、今年は被爆70年・放影研設立40周年という節目の年にあたることから、当研究所の調査研究にご協力いただいている被爆者ならびに被爆二世の方々に感謝の気持ちを込めて、当研究所職員が「感謝のことば」を述べ、更には原爆で亡くなられた方々へ心から哀悼の意をささげるとともに「核兵器のない世界」の実現を願い、純心女子高等学校音楽部の皆さんに合唱を披露していただいた。

 最後にロバート・ウーリック副理事長が、市民公開講座への参加のお礼と、貴重なご意見を頂いたことへの謝辞を日本語で述べて、公開講座は終了した。