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研究計画書 1-13

原爆被爆者に発生した肺がんの分子的特徴の解析

要 約
背景:原爆投下後60年以上が経過しても、原爆被爆者における肺がんの過剰相対リスクはいまだに高い。このことは、肺がんの発生に関する長期にわたる放射線の影響を示している。放射線被曝がどのように肺がんの発生に影響しているのかを分子レベルで探るための一つの取り組みが試行調査(RP B37-04)で行われた。予備段階の結果から、ある遺伝子変異(例:TP53がん抑制遺伝子)の頻度やメチル化(例:レトロトランスポゾンLINE1)のレベルが放射線被曝と関連しているという可能性が示唆された。しかしながら、その試行調査で観察される分子的変化の多くは、放射線量に関して統計的有意性がなかった。そして、その統計解析では、喫煙の影響は考慮されなかった。発がんに関連する遺伝子の適切なパネルを用いた分子生物学的プロファイリングは、最近、肺がんの病因を理解するための機構的なアプローチにとって、一つの効果的なツールであると考えられている。原爆被爆者の肺がんにおけるこうしたプロファイリングは、肺の放射線発がんをより理解するために有用であろう。

仮説と具体的な目標:我々は、原爆被爆者の放射線関連肺がんの遺伝的および/またはエピジェネティックな変化のプロファイルは、散発性(放射線の関連していない)肺がんのプロファイルと異なるという仮説を立てた。この仮説を検証するために、我々は、原爆被爆者から得た肺がん組織標本を用いて、肺発がんに関連する遺伝的およびエピジェネティックな変化を調べる。

研究デザインと方法:使用される試料は、広島の地元病理医ネットワークによって収集される保存肺がん組織標本と、放影研で保存されている肺がん組織標本である。我々は、これらの組織から得られる生物学的試料と寿命調査の疫学データを用いて、肺発がんに関連する遺伝的およびエピジェネティックな変化を解析する。また、1)組織型(例:扁平上皮癌または腺癌)と分化度、および2)喫煙の影響を考慮して、肺がんと前がん病変におけるこれらの分子的変化と放射線量との関連を解析する。