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研究計画書 1-15

原爆放射線の糖代謝・脂質代謝異常ならびに動脈硬化性疾患やがんリスクへの影響

要 約
糖・脂質代謝異常は動脈硬化性疾患の主要なリスク因子であるが、これらの代謝異常への原爆放射線による影響は未だ明らかになっていない。原爆被爆者を対象とした成人健康調査(AHS)は、1958年から2年に1度の健康診断(健診)により各健診時の医療情報が取得できており、糖尿病や脂質代謝異常などへの放射線被曝影響を評価するのに適した集団である。更に2008年には、被爆時年齢が10歳未満の若年被爆者約1,900人を対象者として加えてAHSの調査集団を拡大しており、オリジナルAHS集団と同様に、糖・脂質代謝に関する種々のバイオマーカーの測定を行っている。拡大群はオリジナル集団と比較し、低線量被曝域の対象者数が高い割合で含まれているため、より正確な線量反応に関する情報が得られるであろう。本研究計画では、縦断的調査により、放射線被曝が糖尿病の罹患と関連するか否かを検討し、更にその関連が都市や被爆時年齢により影響されるかどうかを検討する。

放射線被曝が、多くのがんリスクの増加と関連していることはよく知られている。最近の研究では放射線被曝による動脈硬化性疾患リスクとの関連も示唆されているが、そのメカニズムは明らかになっていない。糖尿病や脂質異常症は動脈硬化性疾患の主要なリスク因子であり、最近の疫学研究では、糖尿病は、動脈硬化性疾患だけでなく、がんリスクとも関連することが示されている。本研究では、放射線被曝が糖尿病や脂質代謝異常を介して動脈硬化性疾患やがんのリスク増加に関与しているか否かについても、中間因子を評価するための「因果モデル」を用いて調べる。横断研究では、放射線被曝と糖化ヘモグロビン(HbA1c)、インスリン抵抗性、脂質レベル(HDLコレステロールなど)、ならびに糖・脂質代謝に関連するバイオマーカー(アディポネクチンなど)との関連を検討する。