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研究計画書 2-11

成人健康調査集団における動脈硬化の研究(第2部:血管間葉系幹細胞分化を制御するサイトカイン・ネットワークの解析)

要 約
頭蓋への治療用放射線照射や動物実験においても、原爆被爆者における動脈硬化性疾患死亡および発症の報告からも、高線量の放射線が動脈硬化を引き起こすことが示唆されているが、その機序は明らかではない。動脈硬化の複雑な病態は、従来の「動脈硬化炎症説」のみではその全容を説明することは困難である。特に比較的高線量の放射線被曝による動脈硬化性変化において、組織損傷が第一義的に重要と考えられることから、本研究では動脈硬化を、「炎症−障害反応説」として捉え、「動脈−骨代謝−免疫」に関連する疾患を血管間葉系組織の分化・増殖異常症とする仮説を立てた。そこで、本研究は広島の成人健康調査(AHS)対象者(若年被爆者を含む)約2,100人において多機能のサイトカインを複数測定し、「放射線被曝時の組織障害によるサイトカイン・ネットワークの異常が間葉系組織異常症を引き起こす」という我々の仮説を検証する横断的調査として計画した。すなわち、まず、調査期間である2010年から4年間(2サイクル)の間に一度測定される動脈硬化性指標(脈波増幅指標[augmentation index: AI]、上腕−足首脈波伝播速度[brachial-ankle pulse wave velocity: baPWV]、足関節−上腕血圧比[ankle-brachial index: ABI]、内膜・中膜複合体厚[intima-media thickness: IMT]、大動脈弓・腹部大動脈石灰化)と同時期のサイトカイン(ペントラキシン3[PTX-3]、オステオポンチン[OPN]、オステオプロテジェリン[OPG]、核内因子κB活性化受容体リガンド[receptor activator of nuclear factor (NF)-κB ligand: RANKL]、血管内皮増殖因子A[vascular endothelial growth factor-A: VEGF-A]、高移動度蛋白質1[high mobility group box-1: HMGB-1]、アポリポ蛋白質J[apolipoprotein-J: Apo-J]:別名クラスタリン、インターロイキン17[IL-17])を測定する。間葉系幹細胞の増殖シグナル伝達物質としての活性酸素種(reactive oxygen species: ROS)などの測定も同時に行う。次に「サイトカイン・ネットワーク」が動脈硬化性心血管疾患への放射線影響を抑制・調節するのかを検討する。