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研究計画書 6-11

放射線照射したマウス胎児の甲状腺細胞に生じる染色体異常の研究

要 約
1950年代から始められた小児がんに関する疫学調査により、胎児は放射線被曝による発がん感受性が極めて高いと広く認識されるようになってきた。しかし妊娠第三期で使用された診断用X線が本当に小児がんを誘発したのかどうかに関しては、議論はまだ続いている。我々は、これまでに転座頻度に明らかな線量反応が認められた胎内被爆者の母親の末梢血リンパ球とは異なり、胎内被爆者の末梢血リンパ球には転座型の染色体異常はほとんど観察されないことを見いだした(検査時年齢は平均40歳)。更に、同様の結果がマウス造血系細胞(末梢血リンパ球、脾臓リンパ球、骨髄)でも認められた(胎児期に照射後、成体になってからの検査)。しかし、最近行ったラット乳腺上皮細胞の調査では、胎児の放射線被曝により生じた染色体異常が成体になっても母親と同程度の頻度で残存していることが明らかになった。このことから、胎児被曝により生じる転座型染色体異常の頻度には組織依存性があることが示唆された。そこで本研究では、放射線照射したマウス胎児の甲状腺上皮細胞について、乳腺上皮細胞と同様に放射線の影響が保持されているかどうかの調査を提案する。我々は、乳腺と同様に放射線被曝による発がん感受性が高い臓器の一つである甲状腺を選んだ。得られる結果は、胎内被爆者におけるがんリスクと比較が可能かもしれない。