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研究計画書 2-75

放影研成人健康調査に関する研究計画書、広島および長崎

緒言
成人健康調査は、選択された被爆者、ならびにこれに年齢別および性別の組み合わせを行った非被爆者によって構成される広島および長崎における自発的協力者 20,000人 を基礎とする。この調査の目的は、被爆者の健康状態、罹病歴、およびもし死亡の事実が起こった場合はその死亡について、対照との比較を試みようとすることにある。成人健康調査ではかなり広範囲にわたる医学的記録に基づいて被爆者と非被爆者の生存中に生起する事実について、その相違を究めようとするものである。このような比較を行うためには、統計学的に組み合わされた対象集団を必要とする。そのわけは、今日まで急性期以後に現われた原爆被爆による後遺症は、非被爆者にも同様に現われる疾患で、単に発生率の相違として現われているにすぎず、臨床上あるいは診断上認められるような生理的差異はないからである。

成人健康調査を完遂するためには、最も重要とする自発的協力者のほかに、多方面の人々の理解と協力を必要とする。日本政府厚生省、特に同省原子爆弾被爆者の医療に関する法律所管課においては、これに重大な関心を示され、ABCC は1958年12月非公式にこれと会談して、この研究を厚生省との共同の用に供したい旨を申し入れた。広島および長崎の県、市当局からもまた強く関心が示された。医師会、公私立病院、医学教育施設、その他医療および医学に関心を有する公私各方面に対しても、種々の形の結び付きがある。

原爆傷害調査委員会(ABCC)と厚生省国立予防衛生研究所(予研)の間に締結された同意書は、広島および長崎における成人健康調査の長期研究計画の共同実施を正式化したものである。

目的
今回の研究は、広島および長崎の原爆による放射線の1回全身照射の後影響について、強力な調査を実施することを目的として立案されたものである。現在の線量関係資料は決して決定的なものではないが、予備的資料の示す限りでは、600rad までの線量の影響は被爆生存者集団について効果的に調べることができるはずである。

起こりうると考えられる放射線の影響はおよそ次のように分類することができる。すなわち、
疾患発生率における変化。
発生率に変化があると否とにかかわらず、疾患の自然史に現われる変化。
事実上の疾患とまでは至らない生理的もしくは生化学的変化。
活力の非特異性変化または加齢現象の促進。
放射線特有の新しい疾患の発生。
放射線と関係がある疾患が発見されたならば、その発病機転を明らかにすることも、今回の研究の特定目的のひとつである。

今回の研究計画は、もし資料について適当な検討が行われた上で特定の影響が認められなかった場合には、研究者が十分強力な陰性的結論を出しうるものとしなければならない。

観察は次の3段階に規定する。
既往歴調査、身体検査ならびに臨床検査よりなる基礎的通常検査を定期的に行う。
通常検査の範囲を拡大し、特定器官または疾患についてはさらに精密な検査を行う。
起こりうると考えられる影響に関し特に着想を得た場合は、補足的観察を行う。
以上の3段階による検索が実施されるならば、結局において研究も深められ、特別な重要性を有する着想も無視されることはないであろう。

標本抽出計画

統合研究計画の全般的構想に従って、今回の研究に用いる標本は予研とABCCが共同で実施中の寿命調査に属する基本標本の中から抽出した。さらにこの対象集団は、同一の標本基準該当者はすべて平等に対象として選ばれる機会を持つという意味において確率標本である。もちろんそれは基本標本中の固定した副標本であって、将来これに変更が加えられることはない。

資料の収集
すべて一定の形式に従って既往歴の記録をとり、身体検査を実施し、臨床検査を行う。検査記録用紙の様式および内容は、経験と積み重ねられた研究成果に基づいて今後当然変更される。