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放射線による急性死亡

放射線による急性死亡の確率は、受けた放射線の量に関係する。よく用いられる指標としては、集団の50%が死亡する放射線の線量を表すLD50(50%致死線量)がある。通常被曝後約2カ月以内の死亡を急性死亡として扱う。LD50に近い線量を被曝した場合の主たる死因は、骨髄の傷害による免疫機能不全に起因する出血および感染症である。このような障害は、もし助かる場合には、通常2カ月以内に回復する。

初期の調査では、生き残った人の面接を通じて、50%の人が亡くなったと考えられる爆心地からの距離(広島では1,000−1,200 m、長崎では1,000−1,300 m)からLD50が求められた。しかし遮蔽状況に関する情報が十分でなかったので、放射線被曝線量への換算はできなかった。後に放影研の広範な記録が解析され、遮蔽に関する推定が可能になり、被曝後60日以内の死亡率が50%になる骨髄線量は2.7−3.1 Gy(新線量推定方式DS02で計算すると2.9−3.3 Gy)と推定された。これは、広島における爆心地から1,600 m以内の日本家屋内で被爆した2,500世帯の約7,600人のデータから得られたものである。日本家屋内の被爆者に着目したのは、このような建物の構造がよく似ているため、個人の放射線被曝線量を求めやすいからである。爆心地に近いほど放射線の量は多かったが、同時に爆風による家屋の倒壊や引き続いて生じた火災の熱の影響も強かった。従って、原爆後数週間以内に放射線の影響により生じた死亡と、外傷、やけどによるものを区別するのは不可能であった。外傷ややけどによる死亡を除外するために、放影研で行われた上記の解析では、放射線に起因すると考えられる遅れて生じる死亡に重点を置いた。このような死亡は、被爆の約1カ月後にピークに達している。

国連原子放射線影響科学委員会の報告では、原爆被爆者、放射線事故被曝、および放射線治療の情報に基づいて、骨髄のLD50/60を推定している。これによると、医療がほとんど期待できない場合には、この値は約2.5 Gy、十分な医療が可能な場合には5 Gy以上とされている。
※ 原爆による死亡者数については Q&Aよくある質問 をみてください。
このテーマについての参考文献
Fujita S, Kato H, Schull WJ: The LD50 associated with exposure to the atomic bombing of Hiroshima and Nagasaki. Journal of Radiation Research (Tokyo) 1991; 32(Suppl):154-61. (A review of 45 years' study of Hiroshima and Nagasaki atomic-bomb survivors)