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被爆者の子供における男女比(1948−1962年の調査)

男児の唯一のX染色体は母親に由来するので、母親が放射線に被曝した場合にはX染色体の劣性致死突然変異により女児の割合が多くなり、反対に父親が被曝した場合にはそのX染色体は女児だけに伝えられるので男児の割合が多くなると考えられていた時代があった。1948年から1953年にかけて収集された原爆被爆者の子供に関する初期のデータは、この理論上の予測と一致していたが、統計的に有意ではなかった。そこで情報収集は1962年まで継続されたが(合計140,542人、そのうち73,994人は両親またはその一方が原爆に被爆)、その結果は性比への放射線の影響を裏付けることにはならなかった。

その後、性染色体の数的異常や、胎児および胎児以外の組織におけるX染色体の不活性化パターンなどの問題が考慮され、X染色体突然変異がどのように性比に影響を与えるのか予測することは困難だと考えられるようになった。以上のことから、現在では性比に関する情報は放射線の遺伝的障害の指標として有益なものとは考えられていない。
このテーマについての参考文献
Schull WJ, Neel JV, Hashizume A: Some further observations on the sex ratio among infants born to survivors of the atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki. American Journal of Human Genetics 1966; 18:328-38