ごあいさつ

  • 副理事長兼
    業務執行理事
    Preetha Rajaraman
  • 理事長
    神谷 研二
  • 業務執行理事
    兒玉 和紀

公益財団法人放射線影響研究所(以下放影研)は、明確な使命を持った日米共同の研究機関であり、定款第3 条に「平和的目的の下に、放射線の人に及ぼす医学的影響及びこれによる疾病を調査研究し、原子爆弾の被爆者の健康保持及び福祉に貢献するとともに、人類の保健の向上に寄与することである。」とその設立の目的が定められています。放影研では広島・長崎の被爆者や被爆二世の皆様をはじめ、両市市民、地元医師会、大学、行政機関関係者など、数多くの方々のご協力の下に、日米両国の科学者が疫学、臨床医学、放射線生物学、遺伝学、免疫学など多岐にわたる分野から、原爆放射線の健康影響を解明するための調査研究を実施しております。原爆被爆者や被爆二世の方をはじめ多くの方々の長年にわたるご理解とご協力により得られた放影研の研究成果は、被爆者の援護施策の基本となり、被爆者援護の為の認定や健康管理、医療・福祉の充実に活用されてきました。さらには、世界の放射線防護基準作成の基礎資料として国際機関において活用されており、職業被曝や医療被曝など様々な放射線被曝のリスク低減に幅広く貢献しています。

放影研の前身は、米国学士院が設立した原爆傷害調査委員会(ABCC)であり、1947 年から研究活動を開始しています。1975 年には、日米両国の合意により、日本の外務・厚生両省が所管する公益法人として、日米両国政府が共同で管理運営する財団法人放射線影響研究所が発足し、ABCC の調査研究を引き継ぎました。放影研の調査研究活動は、両国から選出された委員で構成される科学諮問委員会の勧告に沿って進められています。また、広島・長崎の地元諮問委員および地元連絡協議会に調査研究活動などを報告し、その意見を反映するようにしています。

ABCC-放影研の目指すところは、放射線被曝の長期的影響を明らかにすることです。放影研の研究の特徴は、周到に組織された大規模な集団の長期追跡調査であり、その規模、構成、追跡の精度は世界に類例を見ないものとなっています。健康調査では、調査開始以来高い受診率が維持されており、国際的にも高く評価される精度の高い調査が実現しています。これらは被爆者や被爆二世の方のご協力の賜物であると深く感謝申し上げます。

広島・長崎に原爆が投下されてから、既に75 年以上が経過していますが、若齢被爆者層の追跡完了までには20 年近くの期間が必要ですし、被爆二世の方の健康調査には更に長期の期間が必要です。一方、最近の目覚ましい科学技術の進歩は、放射線影響研究の新しい展望を切り開いており、放影研では、これらの先端技術を導入してより詳細に放射線の人体への影響を解明していく所存です。放影研の研究は未だ道半ばと言えます。

放影研は今後とも、使命を達成するために長期追跡調査を継続し、新しい科学技術を活用した高度で精緻な放射線の人体影響の解明を推進して参ります。原爆放射線の人体影響が科学的に解明されることにより、広島と長崎の悲劇を二度と繰り返してはならないとの想いが世界の人々に共有され、恒久平和への礎となることを願ってやみません。

 

理事長(代表理事) 神谷 研二
副理事長兼業務執行理事 Preetha Rajaraman
業務執行理事 兒玉 和紀

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