絶対リスク(AR)

観察期間にわたって、集団中に生じた疾患のうち、放射線被曝により影響を受けた総例数または率であり(通常人年で示す)、多くの場合、104人年当たりあるいは104人年Gy当たり(すなわち、1 Gy当たりの104人年当たり)で表されます。相対リスクが過剰リスクの度合を表している(つまり関連の強さを示している)のに対して、絶対リスクは影響を受けて罹患した人の数を表し、従って集団全体に及ぼす公衆衛生上の影響の強さを表す指標となります。例えば、白血病の相対リスクは被爆後数年以上を経て明らかになった影響の中で最も大きいものですが(相対リスクは約5から6)、被爆により白血病に罹患した人の総数は寿命調査(LSS)集団中わずかに90ないし100例と推定されています。これに対して、固形がんの相対リスクははるかに低いのですが(相対リスクは約1.5)、放射線被曝により固形がんに罹患した人の総数は約850例と推定されています。

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