標識遺伝子

マウスの生殖細胞(卵子または精子)における突然変異の起源を研究するため、研究者は二つの型の動物を用いました。一方は通常の野生型マウス、もう一方は特定の毛の色や短い耳などの容易に識別がつく特徴をもった標識遺伝子を有する突然変異マウスです。突然変異マウスは標識遺伝子についてホモ接合であると言われています。すなわち1対の同一標識遺伝子を保有しています。この2種類のマウスを雑種交配させると、その子らはヘテロ接合です。すなわち標識遺伝子の突然変異コピーと正常コピーを一つずつもっています。これらの子は突然変異遺伝子が劣性性質のため正常に見えます。しかし、(恐らくは実験照射の後に)正常遺伝子内に突然変異が生じると、見た目には正常な兄弟の多くに突然変異の特徴が現れます。これは正常な特徴をつくる正常な遺伝子がもはや存在しないためです。

1回の実験では、経費節約のため 5つから 7つの標識遺伝子を同時に使います。英米を中心にしてこの種の実験には 過去数百万匹のマウスが使われています。

これらのマウスの調査における放射線に起因する突然変異の頻度は、調査された遺伝子により異なります。もし、これらの遺伝子すべてが放射線影響に対して同じように感受性を持っているなら、このようなことは考えられないのですが、なぜ異なるかについてはまだ明らかではありません。

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