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広島研究所で第44回科学諮問委員会を開催(3月1-3日)しました

第44回科学諮問委員会 本年は疫学部について重点評価

科学諮問委員会の共同座長を務めたフランチェスカ ドミニチ (Francesca Dominici) 米国ハーバード公衆衛生大学院教授[左]と祖父江 友孝大阪大学大学院教授

共同座長からの勧告 (概要) に耳を傾ける放影研研究員ら

第44回科学諮問委員会の出席者 (広島研究所 正面玄関にて)

外部の専門家による第44回科学諮問委員会が2017年3月1日から3日までの3日間、放射線影響研究所 (以下、放影研) 広島研究所で開催された。原爆被爆者の長年にわたる追跡調査データに関する研究成果の評価は膨大であり、一度にすべての部を審査することはできないため、毎年順番でひとつの部を審査している。本年は疫学部について重点的に評価を行った。そのため日米からの10名の科学諮問委員に加えて、がん疫学・放射線疫学の専門家が特別科学諮問委員として加わり、計13名が参加した。

丹羽太貫理事長の挨拶に続いて、Robert L. Ullrich副理事長が、放影研の体制ならびに財政状況の概要説明、前回の科学諮問委員会の勧告への対応、さらに研究活動、優先課題、活性化対策について報告した。

重点的評価対象の疫学部からは、昨年の科学諮問委員会の勧告への対応と将来計画の説明に加えて、4名の研究者による発表があり、がんの部位別に生活習慣による効果修飾等について議論された。

他の研究部門からの発表に加え、東電福島第一原発緊急作業従事者に対する疫学的研究について報告があったほか、三つのリサーチクラスター(がん、非がん、遺伝)と情報技術部について自由討論が行われた。また、中長期的課題についても議論され、被爆者の減少に伴う放影研の在り方が協議された。

科学諮問委員会はすべての審査を終えた最終日に、勧告の概要を発表した。

Robert L. Ullrich副理事長は、放影研職員へ発した労いの言葉として、「審査と発表の形式は素晴らしいものであり、各部の概要ならびに各研究プログラムの幅広さと奥深さを明確かつ包括的に理解することができた」旨の科学諮問委員会の声明を伝えたうえで、「科学諮問委員会の勧告は我々の将来にとって非常に有益である。科学諮問委員会からの文書による正式な勧告を楽しみに待ちましょう」と締めくくった。
出席者は以下の通り。

科学諮問委員
Francesca Dominici:
米国ハーバード公衆衛生大学院学部長室 研究部門 上級副学部長 兼 生物統計学部 生物統計学 教授(共同座長)
祖父江 友孝:
大阪大学大学院医学系研究科 社会環境医学講座 教授(共同座長)
権藤 洋一:
独立行政法人理化学研究所 筑波研究所 バイオリソースセン ター新規変異マウス研究開発チーム チームリーダー
甲斐 倫明:
公立大学法人大分県立看護科学大学 人間科学講座 環境保健 学研究室教授
酒井 一夫:
東京医療保健大学 東が丘・立川看護学部 教授
山下 俊一:
長崎大学理事・副学長
Michael Cornforth:
米国テキサス大学医学部放射線腫瘍学部門 生物学部教授 兼 部長
Anatoly Dritschilo:
米国ジョージタウン大学医学部放射線医学教室 主任 兼 教授
Jonine Bernstein:
米国Sloan Kettering 記念がんセンター生存・転帰・リス クプログラム担当疫学者 兼 共同リーダー
Nilanjan Chatterjee:
国ジョンズ・ホプキンス大学医学部ブルームバーグ 公衆衛生大学院腫瘍学部 生物統計学科 ブルームバーグ特別教授 特別科学諮問委員
特別科学諮問委員
田島 和雄:
三重大学大学院 医学系研究科 公衆衛生・産業医学分野客員教授
Amy Berrington:
米国立がん研究所(NCI)放射線疫学部部長 兼 上級研究員
Sally Amundson:
コロンビア大学 放射線腫瘍学担当 准教授