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2017オープンハウス(広島・長崎) 約2,000名の来場者で大賑わい!

放影研では毎年8月5日と6日に広島研究所で、8日と9日には長崎研究所でオープンハウス(施設一般公開)を開催している。この日は通常の施設見学では味わえない様々な工夫が凝らしてある。来場者は好きな時間に自由に施設内を見学でき、オープンハウス用に設けられた展示パネルや実験などの体験コーナーを通じて、放影研が行っている調査研究の内容と最新の結果が、分かりやすく理解できるようになっている。実務に携わる研究員や検査技師から直接説明を聞くことができるのも大きな特長。今年は、ABCC-放影研設立70周年の節目の年の開催となったことから企画も盛りだくさんで、広島研究所は1,383名、長崎研究所では608名の来場者で賑わった。

オープンハウスは広島・長崎両研究所それぞれに設置された実行委員会が企画・運営し、役職員総出で対応している。
以下に今年のオープンハウスの模様を、各実行委員長から詳しく報告する。

広島オープンハウス (8月5日・6日 広島 実行委員会委員長 羽場 博)

「ヒロシマ日記」著者の蜂谷博士について語る久保田明子 原医研助教(右端奥)

「出前授業」講演を担当した堀向玲子 広報出版室室長補佐(左)と助手の高橋規郎 顧問

疫学調査の説明を聞く来訪者

顕微鏡を覗く子どもたち

23回目を迎えた今年の広島オープンハウスは「スクラップブックは語る 世界へ届いた『ヒロシマ日記』」と題した特別展示を企画した。被爆当時、広島逓信病院長だった蜂谷道彦博士が書いた「ヒロシマ日記」の、英語版に関する書評や新聞記事の切り抜きをまとめたスクラップブックを展示し、広島大学原爆放射線医科学研究所附属被ばく資料調査解析部の久保田明子 助教が「Dr. ウェルズと蜂谷先生―Hiroshima Diaryとヒロシマ日記」と題して解説した。来場者からは「“ヒロシマ日記”の存在を知ることができ大きな収穫だった。翻訳者のことをもっと知りたい」「久保田先生のお話がとても良かった」などの声をいただいた。

ほかに、広島市内と近郊の小学校や中学校に出向き、放射線について子どもたちに分かりやすく解説する「出前授業」を再現。講師は、出前授業プログラムを担当する事務局広報出版室の堀向玲子 室長補佐が務めた。多くの子どもたちが参加した会場は大いに賑わい、「自分の小学校へ来て授業をしてほしい」「とてもべんきょうになりました。おもしろかったです」「放射線ってどこにでもあるのだなとわかりました」など、好評を博した。

ABCC-放影研設立70周年企画として「ABCC-放影研の研究とみなさまの日常生活」と題して丹羽太貫 理事長が講演を行い、聴講者からは「放影研の存在に意義があることが分かった」「放影研の調査研究がいかに私たちの生活にとって有益であったかを知ることができ勉強になった」「放影研がこれまで長きにわたって行ってきた調査が、現在の私たちの暮らしの安全安心に深く関わっていることを知った」など多くのご意見・ご感想をお寄せいただいた。

毎年、来場者に好評のサイエンスコーナーは、液体窒素ショーや、身近な食材や道具を使ったDNAの抽出、実験に用いる器具の体験、顕微鏡での組織観察など盛りだくさん。また、昨年に引き続き、所内にスタンプを設置したクイズラリーが人気だった。今年初めての試みとして、自然界に存在する放射線を観察する霧箱コーナーを設け、身近な道具を使って作成された霧箱で多くの来場者が観察を行った。

今年は2日間で1,383名もの方に来場いただいた。来場者1人あたりの滞在時間が長い傾向にあり、じっくりご覧いただけたと思う。多くの子どもたちからは、「オープンハウスに来て楽しかった」との感想をいただいた。また、展示方法や配置を工夫することで展示パネルの前にスペースが生まれたのが功を奏したようで、来場者と職員が積極的に交流を深める場面が多く見られた。いずれの企画も、どの展示も大盛況だった。

暑い中、オープンハウスにお越しくださったみなさまに役職員一同、心からお礼を申し上げたい。

 


 

長崎オープンハウス (8月8日・9日 長崎 実行委員会委員長 山口 邦雄)

講演「ABCC―放影研の研究とみなさまの日常生活」の様子(中央奥は演者の丹羽太貫 理事長)

水性ペンの色分離を体験する子どもたち

成人健康調査の説明

被爆前後の航空写真の説明を聞く来訪者

長崎研究所で第21回目となるオープンハウスを開催した。1日目397名、2日目の午前は雨天で足元が悪い状態だったが211名の方に足を運んでいただき、両日で608人の来場者で賑わった。

今回は「この夏、放影研を知ろう!」をキャッチフレーズに、展示室では「研究所のあゆみ」「研究所の調査内容と結果~被爆者調査・被爆二世調査~」また、放影研の前身である原爆傷害調査委員会(ABCC)から放影研へ至る歴史や、当時の写真などの企画展示に加えて、「東電福島第一原発緊急作業者に対する疫学的研究」の特別展示を行った。

2日目はABCC-放影研設立70周年企画として、丹羽太貫 理事長が「ABCC―放影研の研究とみなさまの日常生活」と題して講演。会場は多数の聴講者で満席となり、活発に質問も出され、「大変興味深く聴かせてもらった」などの感想もいただいた。

体験コーナーでは、動脈硬化検査、骨密度測定、体脂肪測定などが好評で、「いろんな検査をしてもらって自分の健康診断を知ることができてよかった。もらったアドバイスに注意して過ごしていきたい」といった声もいただいた。自由研究の題材を求めて来た子どもたちは、液体窒素を用いた実験や水性ペンの色の分離実験、顕微鏡での血液中の赤血球と白血球を熱心に観察し、保護者からは「液体窒素の実験が楽しみだと言ってうちの子は眠れないほどでした。実際とても楽しそうにしていました」との感想もいただいた。子どもから大人までオープンハウスを満喫していただいた。

今年は、理事長の記念講演を企画した効果もあってか、入場者数が昨年を上まわり、過去3番目を記録した。「普段見られない施設を見ることができてよかった」「毎年来ているが、来るたびに新しい知識を得ている」「被爆者や被爆二世の方のデータを管理し研究していくことは必要なことだと思う」と数多くの意見や感想をお寄せいただいた。初めて来場された方々も多く、キャッチフレーズの通りに、この夏多くの方々に放影研を知っていただく良い機会となった。

長崎オープンハウスにお越しくださったみなさまに役職員一同、心からお礼を申し上げたい。