• お知らせ

研修制度のご紹介~海外研修生が見た放影研とは~

放影研は、意欲ある研修生を積極的に募集しています。
研修の内容は、 原爆被爆者の皆様にご協力いただきながら進めている放影研の研究に基づくものです。幅広く社会に貢献できる経験や知識を得られるまたとない機会です。
放影研には、毎年、短期と長期合わせて、約100人の研修生が世界中から訪れています。

科学をはじめとする分野を専門とする皆様のご応募をお待ちしています。応募に関する最新情報は、ウェブサイトの「新着情報」をご覧ください。 次回の募集は、2020年3月頃に開始する予定です。

2019年11月26日から12月6日まで、海外からの3人の専門家が、分子生物科学部(MBS)で、研修を行いました。以下で、その模様を紹介します。

研修生の横顔

韓国国立がんセンターの医学物理学者であるYoung Kyung Lim先生は放影研の林奉権(分子生物科学部副部長)のもとで、放射線によるT細胞および染色体分析を含む損傷とその分析方法について学びました。
Lim先生は、韓国国立がんセンターに戻った際、放影研で得た知識を使用して、陽子線がん治療における超高線量率効果と陽子ミニビーム効果を研究するそうです。

バングラデシュ原子力委員会の科学者、Ziaur Rahman先生は、 同じく分子生物科学部の林と研究員の濱﨑幹也のもとで研修を行いました。
Rahman先生が働くのは、バングラデシュの急速な原子力の発展を鑑みて近ごろ設立された放射線の緊急対応を研究するラボ。研修を受ける目的は、放射線労働者の健康を守るために生物学的に放射線の影響を研究する事でした。
こうした研究に関連する、血液採取および培養技術、細胞採取法、染色体異常解析といった技術を彼は学びました。

ラトビアのリガ、ストラディン大学の労働安全衛生研究所の研究者、Laura Komarovska先生も、分子生物科学部の林のもとで研修を行いました。
放影研は、すでにリガ、ストラディン大学と協力関係にあり、過去、何度も研修生を受け入れています。今回は、Komarovska先生が来所しました。DNA抽出、SNP分析技術、ROS分析、ギムザ染色、および原爆被爆者の生体線量測定研究について学んだ彼女。
彼女の研究所では、ウクライナのチェルノブイリ事故で被曝した5,000人のラトビアの清掃作業員と、1,600人の子どもたちを調査しています。

研修生の感想

Lim先生は、放影研での研究は有益で、以前は何も知らなかった分子生物科学の分野で、知識がどのように使われるかを学んだと語っています。

Rahman先生は、この研修を受講できたことは、どれほど幸運であるかを繰り返し話し、「私の国の放射線被ばくによる労働者の健康リスクに対処する」のに役立つ研修だったと言ってくれました。いっぽうで、研修期間を2週間から3週間に延長してはと提案してくれました。

Komarovska先生には、カリキュラムがよく考えられており、時間を有効活用して効率的に教わることができる研修だと言っていただきました。 彼女は、放射線の健康影響に関する新しい知識を同僚の研究員に伝え、改善することを提案し、研究室で行われている研究の範囲を広げたいと望んでいます。

最後に…

個人的な見方として、Komarovska先生は、私たちに、彼女の日本や広島に対する印象を語ってくれました。「日本人は、静かで落ちついていて、とても親切だ」。加えて、「お好み焼きは最高の食べ物。ソースは最高の食材」とも。

これを読んだ、放影研の研修に対する印象はいかがですか?
将来、放影研で研修を受けてみようかと考えている方にとって、こういった情報は、ここで学ぶか否かを決断する時の重要な材料になると思っています。