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原爆被爆者のゲノム研究におけるデータ返却に関するELSI 国際シンポジウム開催報告

2024年12月12日から13日の2日間にわたり、「原爆被爆者のゲノム研究におけるデータ返却に関するELSI 国際シンポジウム」が広島研究所にて開催されました。

本シンポジウムには、国内外の生命倫理およびゲノム科学の専門家が集結し、放射線影響研究所(放影研)による「原爆被爆者のゲノム研究」における倫理的課題や、研究対象者へのゲノムデータ返却方法について活発な議論が行われました。

シンポジウム概要
シンポジウムでは、国内外における最新のゲノム研究動向が紹介され、特に放影研の研究計画とその成果を一般市民に広く共有するための取り組みについて議論しました。また、ゲノム研究によって明らかになる個人の遺伝情報を、研究協力者自身の健康管理にどのように役立てるかについても多くの意見が交わされました。

このシンポジウムは、各分野を代表する専門家の意見を伺う貴重な機会となり、放影研にとって重要な節目となりました。

ELSIとは、:Ethical, Legal and Social Issuesの略です。
   「倫理的・法的・社会的課題」を指します。

主な参加者
有田健一:広島原爆養護ホーム舟入むつみ園、三原赤十字病院 医師
Yvonne Bombard:トロント大学 健康政策・管理・評価研究所教授 兼
      カナダ・リサーチ・チェア(ゲノミクス医療サービス・政策)
片峰 茂:長崎大学元学長
加藤和人:大阪大学大学院医学系研究科 教授
粥川準二:叡啓大学ソーシャルシステムデザイン学部 准教授
島田義也:環境科学技術研究所 理事長
Douglas Stewart:米国立がん研究所 上級研究員
David T. Miller:ボストン小児病院
      神経線維腫症研究イニシアティブディレクター 兼 小児科准教授
寺尾知可史:理化学研究所生命医科学研究センター
      ゲノム解析応用研究チーム チームリーダー
中川英刀:理化学研究所生命医科学研究センター
      がんゲノム研究チーム チームリーダー
長神風二:東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 教授
檜井孝夫:広島大学病院 遺伝診療科 教授
三浦清徳:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 産科婦人科学教室 教授
武藤香織:理化学研究所生命医科学研究センター 
      生命医科学倫理とコ・デザイン研究チーム チームリーダー
      東京大学医科学研究所 教授
Megan Frone:米国立がん研究所 遺伝カウンセラー
Leslie G. Biesecker:米国立衛生研究所 

国立ヒトゲノム研究所精密医療研究センター長 ほか、放影研研究員を含む計35名が参加しました。
(五十音順・敬称略)

 

記者会見
シンポジウム終了後に行われた記者会見には、マスコミ8社が参加し、シンポジウムの成果や今後の展望について報道されました。

本シンポジウムは、ゲノム研究と倫理的課題に関する理解を深めるとともに、データ返却のあり方について考える重要な機会となりました。引き続き、放影研は研究の透明性と倫理性を確保しつつ、社会への貢献に努めてまいります。

記者会見の様子