成人健康調査集団の経時的変化
この記事は RERF Update 4(2):14, 1992に掲載されたものの翻訳です。
成人健康調査(AHS)は、ABCC-放影研寿命調査(LSS)集団の固定副次集団を2年ごとに健康診断するプログラムで、1958年に開始した。第18周期の健診が現在(1992年)進行中である。検査項目は医療歴、内科診察、胸部X線、血液・尿・便検査、心電図、血清コレステロールである。複数の血液生化学測定が1986年に開始され、1980年以降、腹部臓器疾患の診断に超音波検査が行われている。
当初、AHS集団は 約20,000人からなる固定集団として定義された。この集団は、爆心地から 2000m以内で被爆し、放射線被爆による急性症状のあった近距離被爆者のほぼ全員と、年齢と性を一致させたほぼ同数の急性症状のなかった近距離被爆者、遠距離被爆者、および非被爆者(原爆時に市内にいなかった)対照群で構成されている。AHSの非被爆者群の積極的な追跡調査を1977年に終了したので、現在は1958年に生存が確認されていた当初のAHS集団のうち 約14,000人の被爆群に焦点を当てている。
下の図に生存している対象者の年齢と性別の分布を特定の検診周期について示す。健康診断を断った人と連絡対象地域の外へ転出した人を非受診者として示す。 第15周期終了までに、AHS対象者のうち 約4900人が死亡した。比較的高い受診率が依然として維持されてはいるが、集団は明らかに縮小しており、 80歳以上の生存対象者の割合が高くなっている。

図. 成人健康調査集団の経時的変化