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Preston博士に2017年Failla賞

放射線影響学会第63回年次総会でFailla賞を授与されたPreston博士(左)

放射線影響学会第63回年次総会が2017年10月15日から18日までの4日間、メキシコのカンクンで開催され、その席上で同会の最高栄誉賞とされるFailla賞がDale L. Preston博士に授与された。同博士は放射線影響研究所(放影研)広島研究所で、多くの実績を積んだ生物統計学者で、1981年から23年間の長年にわたって原爆被爆者の研究に携わった。

同博士は放影研在任中に、放射線疫学における線量反応モデルに広く用いられるリスク回帰モデルとソフトウエアを開発し、原爆被爆者集団における、がんと非がんの死亡率と罹患率に関する放射線影響の主要報告書を作成したほか、ふたつの新しい線量推定方式の導入において重要な役割を果たした。

Failla賞は、イタリア生まれのアメリカ人物理学者であり、放射線影響学会の創設者でもある故Gioacchino Failla博士をたたえるために1962年から翌年にかけて制定されたもので、毎年、放射線影響の研究分野で顕著な貢献を果たした会員にメダルと賞金が授与される。ちなみにFailla博士は、放射線が誘因となるがんと遺伝子突然変異の研究が評価された功績を持つ著名な科学者である。

Preston博士は現在、放影研顧問として原爆被爆者のがんリスクの解析を進める傍ら、生産合同マヤークの労働者やテチャ川の周辺住民、アメリカの放射線技師、他の被ばくした方々に係る研究に携わっており、200本もの論文の筆頭著者でもある。

私たち放影研の役職員は、長年にわたる放射線研究への多大な貢献がもたらした2017年Failla賞受賞者のPreston博士に対して、心からの祝意を表したい。