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米国国務省が放影研を表敬訪問

視察に訪れたDr. Carrero-Martinez(右)とDr. Frisk(左)

常設パネルの前でABCC-放影研の歴史について学ぶ国務省関係者一行

午後のフリーディスカッションでは活発な質疑応答が行われた

米国の国務省関係者が2017年10月4日、放影研広島研究所を表敬訪問し、放影研の調査研究について理解を深めた。特に放影研の活動が、広島・長崎で被爆された方々、二世の皆様のご協力によって成り立っていることをお分かりいただけたと思う。

米国国務省からは、神経学博士であり、国務長官付 科学技術顧問副次官代理でもあるFranklin A. Carrero-Martinez氏と、化学博士で、科学技術顧問の秘書官を務めるMegan L. Frisk氏の2名がまず到着。放影研の丹羽太貫理事長をはじめ、Robert L. Ullrich副理事長、橋爪章業務執行理事、Eric J. Grant主席研究員、児玉和紀主席研究員とあいさつを交わした後、意見交換のほか、放影研の財政状況について説明を受けた。

その後、駐大阪・神戸米国総領事館のKaren Kelley総領事、そして最近まで中国成都に駐留していたColin Fishwick政治経済担当領事と、渋井直美政治経済担当官が合流したところで、児玉主席研究員がABCC-放影研の歴史について講演を行い、外部有識者による委員会の勧告により、ABCCが被爆者とその子どもついて長期的調査研究を始めた経緯などを説明した。

所内案内を挟んで、Grant主席研究員が説明に立ち、遺伝学的研究や被爆者の子どもに関する調査研究など、ABCC-放影研の初期の研究を確立する原動力になった出来事のほか、原爆投下後、遺伝的影響の研究が重要であると考えられていたことに加え、放影研の進行中の研究プロジェクトと「明るい未来」について語り、「放影研は、日米政府間の協力と科学研究のすばらしい成功例だと思う」と結んだ。

午後のフリーディスカッションでは、放影研で行われている調査研究について活発な質疑応答が展開された。具体的には、データを分析する新技術の導入予定の有無(放影研回答:予定している)、被爆者の微生物レベルでの分析の有無(放影研:していない)、被爆者の心理的後遺症の調査の有無(放影研:残念ながらしていない)、放影研を取り巻く政治環境(放影研:良好)、放射線に起因する疾病罹患の予測の可否(放影研:現在はできない。ただ、がんについては、放射線影響のバイオマーカーを探している)などである。

このたびの訪問についてUllrich副理事長は、「とても有意義な視察で、米国政府の関係者に放影研の調査研究についていろいろ知っていただくことができた。今後も放影研をサポートいただけると思う」と語った。