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第2回試料利用外部諮問委員会を開催

8月23日、対面・オンラインのハイブリッド形式で第2回試料利用外部諮問委員会を放射線影響研究所(放影研)において開催しました。委員会終了後には、委員会で出たご意見の詳細をマスコミに報告するための記者会見も開催しました。

放影研では、原爆被爆者および被爆二世の皆様から血液や尿といったバイオサンプル(試料)をご提供いただいています。この外部諮問委員会は、被爆者やその家族が置かれてきた医学的・社会的な状況を鑑み、放影研が保管しているバイオサンプルを、倫理的・社会的な懸念に細心の注意を払いながら適切に研究利用することを目的に設置されました。そのためこの委員会では、学識経験者、放影研の調査の参加者、一般市民を含む委員に対して、放影研がバイオサンプルを用いて実施する特定の研究について詳しく説明し、研究において考慮すべき倫理的、社会的な課題について委員の皆様からのご意見を伺います。

2021年8月から2022年8月までの間に開催された、被爆二世ゲノム配列解析に関する外部諮問委員会も、今回の委員会と同様に外部の委員で構成されていて、主に放射線被ばくの遺伝的影響について議論がなされました。今回の試料利用外部諮問委員会では、放影研が提案する研究計画の筆頭研究員からの説明に加え、バイオサンプルを用いたゲノム解析の重要性に関する一般的な話題も取り上げられました。いずれの外部諮問委員会も、被爆者や一般市民を含む委員に対し、放影研の研究員が、研究計画を説明する機会となっています。

今回の会議では、最初に放影研、理化学研究所、および米国国立がん研究所との共同研究として提案されている「遺伝影響の解明を目的とした全ゲノム・遺伝子解析調査」について解説がありました。それを受けて委員からは、特に遺伝的影響が発見された場合、情報の繊細さを考慮しつついかに研究結果を正確かつ理解しやすく伝えるべきかについて、懸念も含めたご意見や質問が示されました。放影研も、マスコミおよび一般市民との透明性あるコミュニケーションの実現は、今後も継続して注力すべき重要な課題であることを認めました。また、放影研は積極的に一般市民と接する機会を設け、遺伝に関連する各調査とその意味合いを説明すべきであるとの提言があり、被爆者、被爆二世、社会の皆様へ当該研究の結果を還元するためにも、適時、研究に着手することが求められました。

外部諮問委員会に続いて開催した記者会見には、マスコミ9社が参加しました。報道機関からは、研究の詳細、開始時期および研究結果を一般公開する計画などに関する質問がありました。