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第26回広島地元連絡協議会を開催

第26回広島地元連絡協議会(地連協)が2024年2月21日に開催されました。

地連協は、地元の要望を放影研の事業に反映させるため、地元の大学、医療機関、被爆者団体、マスコミおよび地方公共団体の関係者で構成されており、前回は2023年2月にオンラインで開催されました。今回は2018年以来、5年ぶりに対面での開催となりました。

協議会は15名の委員のうち代理出席を含む11名が出席し、広島大学学長の越智光夫会長の進行のもと、次の7つの議題にそって進行されました。

  1. 概況報告
  2. 放影研戦略計画
  3. 広島研究所施設の移転
  4. 最近の研究成果
  5. 被爆二世ゲノム配列解析に関する進捗報告
  6. 試料利用外部諮問委員会
  7. その他報告事項

まず、神谷理事長が、2023年6月から発足した新理事体制を紹介し、前回の協議会以降の重要会議、戦略計画、施設移転の進捗等について概要を報告しました。続く「放影研戦略計画」では、従来の疫学的な調査に加えて、被爆者から提供された生体試料を最先端の技術を用いて解析するという放影研の戦略について述べ、その戦略を実現するために広島大学霞キャンパスへの移転が重要であると説明しました。そして新施設は、新しい研究に対応できる柔軟なデザイン、共同研究を容易にする開放型の研究エリア、健診協力者の利便性を考慮した健診エリアなど、新建物の基本的なコンセプト等について説明がありました。それについて、委員からは、広島大学でバイオバンク設立の動きがあるので、放影研と共同研究に向けて互いに連携できるのではとの意見がありました。また被爆者の健康フォローアップのためにも、線量推定に関するデータを共有できれば良いとの意見がありました。

続いて Rajaraman 副理事長が、がんに関する調査結果、寿命調査・成人健康調査に関する新たな知見、最新の人体モデル(ファントム)を用いた被ばく線量推定および放射線健康影響の機序に関する研究の最新情報を報告し、被爆二世ゲノム配列解析(トリオ研究)に関する進捗報告では、研究目的、方法、今後のスケジュール、外部との連携等について説明しました。原爆の次世代への影響については長年の懸念事項であり、トリオ家族(父親・母親・子ども)の対象者は線量分布をもとに抽出し、研究計画については、外部諮問委員会の意見や助言を取り入れ2024年2月に予備研究のためのインフォームドコンセント(IC)取得を開始したことを報告しました。委員からは被爆者団体の関与やELSI(倫理的、法的、社会的課題)の対応の必要性について意見があり、放影研としては慎重に対応していくことを説明しました。最後に、児玉業務執行理事が2022年に設置された「試料利用外部諮問委員会」について、委員会設置の経緯および2023年8月に開催されたトリオ研究を対象とした委員会における提言(1. 研究結果をいかに正確かつ理解しやすく調査対象者に伝えるか、2. 積極的に一般市民と接する機会を設ける、3. 研究結果を還元するために適時研究に着手すること)を報告しました。

すべての議事を終え、最後に越智会長が「放影研は今日出された意見を十分検討し、今後の事業運営に活かしていただきたい。」との挨拶をもって、第26回広島地元連絡協議会を終了しました。