解説・総説シリーズ(CR) 2-07

長期調査コホートにおけるB型肝炎およびC型肝炎ウイルス感染の診断のための凍結乾燥血清の有用性の検証

大石和佳, 藤原佐枝子, 鈴木 元, 茶山一彰
Research Advances in Microbiology 7. Mohan RM (edit). Kerala: Global Research Network; pp 1-9, 2007 June

要 約
保存血清サンプルを用いた検査は、肝疾患に関連した疫学や臨床研究のための貴重なデータをもたらすことで知られている。本論文では、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)感染の診断における凍結乾燥血清の有用性について検討を行った。我々は、広島と長崎で長期的に行っている成人健康調査(AHS)コホート対象者の中で、HBs抗原陽性12例、HCV抗体陽性25例に由来する凍結および凍結乾燥血清サンプルを用いて、HBs抗原、HBc抗体、HCV抗体、HBVとHCVの遺伝子型、そしてHBV DNAとHCV RNAの定量的検出の比較を行った。凍結乾燥血清は凍結血清と同様に、HBVおよびHCV感染の血清学的および分子生物学的検出において有用であると考えられた。更に、AHSコホート対象者における肝細胞癌のコホート内症例対照研究では、凍結および凍結乾燥保存血清によるHBVおよびHCV感染陽性サンプルの分布は、信頼性があると考えられた。凍結乾燥血清の使用は、長期間保存された凍結血清と同様、肝疾患の原因や病態に関する現在進行中および将来の研究を更に推進させることが期待される。

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