放影研報告書(RR) 20-93

広島・長崎における癌発生率,1958-1987年

Goodman MT,馬淵清彦,森田昌幸,早田みどり,落久保幸夫,福原照明,池田高良,寺崎昌幸
Eur J Cancer 30A(6):801-7, 1994

要約

1958年から行われている広島と長崎の腫瘍登録は、日本における数少ない人口集団を基盤とした癌登録の一つである。今回の解析では、1958年から1987年までの広島と長崎における癌発生率の傾向を調べた。全体的な年齢調整を行った(世界人口基準)癌発生については、癌登録が始まってから30年間で、男性では 100,000人当たり217例から301例に、女性では 100,000人当たり176例から197例に増加した。最近の発生率は、諸外国の発生率の中間に位置する。胃癌は徐々に減少してはいるが、調査期間中を通じて男女ともに最もよく見られた悪性腫瘍であり、1980年代後半までに全癌の24%を占めた。男性では肝癌の割合が過去20年間に激増しており、この10年間だけでも発生率は2倍に増加している。現在、広島・長崎の集団は、世界で最も高い肝癌の発生率を示す集団の一つである。それに対し、広島・長崎の乳癌発生率は、1960年代から2倍になってはいるが、世界で最も低いレベルに入る。ほかによく見られる悪性腫瘍としては、男性では肺癌、結腸癌、直腸癌があり、女性では結腸癌、子宮頚癌、肺癌がある。

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