放影研報告書(RR) 2-95

ヒト血液細胞中の突然変異頻度は加齢に伴って増加する

秋山實利,京泉誠之,平井裕子,楠 洋一郎,Iwamoto KS,中村 典
Mutat Res 338:141-9,1995

要約

コロニー形成法またはフローサイトメトリー法のいずれかを用いることによって、ヒト末梢血のまれな突然変異リンパ球または赤血球の頻度を測定することができる。そこで、我々はTリンパ球におけるヒポキサンチン-グアニンフォスフォリボシルトランスフェラーゼ遺伝子とT細胞レセプター遺伝子および赤血球におけるグリコフォリンA遺伝子に関する変異細胞頻度を0歳から96歳までの数百人について調査した。これらのいずれの遺伝子においても突然変異頻度は年齢と共に有意に上昇した。グリコフォリンA突然変異頻度の年齢依存的上昇は、単に長年にわたって造血幹細胞の中に突然変異体が蓄積したためであると解釈できる。他方、T細胞突然変異体頻度の増加のメカニズムについては、突然変異体細胞の発生と消失のバランスを考慮に入れなくてはならない。

戻る