放影研報告書(RR) 8-95

日本人女性とハワイ在住の日系女性の椎体骨折有病率の決定因子

Huang C, Ross PD, 藤原佐枝子, Davis JW, Epstein RS, 児玉和紀, Wasnich RD
RR番号 8-95
Bone 18(5):437-42, 1996

要約

年齢訂正された椎体骨折有病率は、ハワイ在住の日系女性より日本人女性の方が高いことが報告されている。この横断的な人口集団を基盤にした調査において、我々は椎体骨折と関連があると思われる種々の危険因子を調べ、これらの因子によって日本人女性と日系アメリカ人女性の椎体骨折の違いを説明できるかどうかを検討した。広島に住む50-88歳の802人の日本人女性とハワイに住む52-88歳の840人の日系アメリカ人女性について、脊椎レントゲン、脊椎骨密度のデータ、他の危険因子と思われる因子を収集した。ロジスチック回帰分析において、骨密度は椎体骨折の大きな予測因子であった。線形回帰モデルでは、体重、年齢、月経歴(閉経年齢や初潮から閉経までの年数)は、骨密度と有意の関連があり、骨密度への影響を通じて間接的に骨折リスクに寄与しているかもしれない。しかし、年齢と月経歴は、骨密度を訂正しても、骨折の有病率に、追加的かつ補足的な説明因子となった。これらの変数を合わせて、両調査集団の椎体骨折の有病率の違いの多くが説明できた。結論として、日本人と日系アメリカ人女性に見られた脊柱骨折の年齢訂正有病率の違いは、主に骨密度の違いやエストロゲン曝露期間やエストロゲン不足期間の違いで説明できた。すなわち、骨密度は椎体骨折の主な危険因子ではあるが単独の危険因子ではない。年齢および閉経に関連した機序が、骨密度にかかわりなく脊椎骨折に重要な役割を果たしている可能性がある。

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