放影研報告書(RR) 3-98
コホート内症例-対照研究における相互作用評価のための対照群の選定
Cologne JB, Langholz B
J Epidemiol 13(4):193-202, 2003
要約
背景
調査集団全体において測定されたリスク因子 Xと症例-対照集団のみで測定された別のリスク因子 Zとの相互作用の分析を目的として、コホート内症例-対照研究における対照群選定のための二つの手法―Xに対するマッチングとXに対するカウンターマッチング―を比較する。マッチングは、Xがまれで相互作用が正である(相乗モデルより大きい)場合には無作為抽出よりも高い効率を示すのに対して、カウンターマッチングは一般的に無作為抽出よりも効率的であることから、このような比較は重要である。
方法
2分変数 Xおよび Zについて、マッチングとカウンターマッチングを相互に比較し、また対照の無作為抽出法とも比較した。原爆被爆者における乳がんに関連した放射線およびその他のリスク因子について発表された研究を例として用いたシミュレーションにより、また、Xおよび Zの頻度ならびにそれらの相関関係と相互作用の程度を特定する広範なパラメータについての漸近相対効率計算により、比較を行った。Xおよび Zの同時リスクの一般的モデルを用いた解析に重点を置いた。
結果
まれなリスク因子 Xおよび相関関係のないリスク因子Zの場合の相互作用に関する推定の効率においては、マッチングあるいは無作為抽出よりもカウンターマッチングの方が優れていた。更に、より一般的な効率計算によると、相互作用の研究においては、マッチングを行った症例-対照デザインよりもカウンターマッチングの方が全体的に見て効率的であることが示唆された。
結論
カウンターマッチングによるデザインは標準的統計手法を用いて解析され、Xの影響に対する交絡の研究が可能であるのに対して、マッチングによるデザインは、一般リスクモデルを当てはめる際に非標準的手法を必要とし、Xの補正リスクの検討ができないので、症例-対照抽出の時点でXが分かっている場合の相互作用に関するコホート内症例-対照研究においては、Xに対するカウンターマッチングの方がXに対するマッチングよりも優れているという結論に達した。