放影研報告書(RR) 1-99

1型アンギオテンシンⅡ受容体遺伝子の5′-領域の多型と高血圧症との相関

高橋規郎, 村上秀子, 児玉和紀, 笠置文善, 山田美智子, 西下聡英, 稲上 正
Ann Hum Genet 64:197-205, 2000

要約

レニン-アンギオテンシン系の各々の構成物質の分子変異は、本態性高血圧の遺伝的病因に寄与すると考えられている。ポリメラーゼチェーン反応法による増幅後の変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(PCR-DGGE)および塩基配列決定を用いて、我々は、1型アンギオテンシンⅡ受容体(AGTR1またはAT1)遺伝子の5′-フランキング領域における7種類の多型を同定した。AT1遺伝子の5′-フランキング領域における多型マーカーが本態性高血圧と相関するか否かを調べるために、日本人集団について症例-対照調査を行った。本調査では149人の高血圧群と156人の正常血圧の対照群を比較した。高血圧群に有意に高いAT1(-535)*T対立遺伝子頻度が観察された。AT1(-535)*T対立遺伝子は、高血圧の危険因子としてアンギオテンシンⅠ転換酵素D(ACE*D)対立遺伝子と相助的効果を示しているという証拠が得られた。

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