放影研報告書(RR) 11-00
自然小核アッセイ法で調べた、BRCAlまたはBRCA2を欠損するヒトがん細胞における染色体不安定性
伴 貞幸, 篠原智子, 平井裕子, 森宅幸恵, Cologne JB, MacPhee DG
Mutat Res 474:15-23, 2001
要約
BRCA1およびBRCA2遺伝子産物は、多くの散発性乳がんの発生および/あるいは進展に重要な働きをしていると考えられている。最近、正確な染色体分配過程を維持していると考えられている中心体の機能に、これら二つの蛋白質が関わっていることが報告された。すなわち、乳腺細胞中のBRCA1またはBRCA2蛋白質発現の減少は不均等分配による染色体の損失または獲得を引き起こすであろうことを意味する。本研究では、分裂期に娘核に取り込まれなかった染色体が形成する自然小核が、BRCAを持つヒトがん細胞においてよりもBRCA1またはBRCA2を欠損するがん細胞においてより頻繁に出現することを報告する。すなわち、乳がんの幾つかのケースでの発生機序が、BRCA1またはBRCA2のどちらかの発現が減少した細胞では正確な染色体分配が損なわれることに起因していると考えられる。 Mutation Research, Vol 474, Ban S, Shinohara T, Hirai Y, Moritaku Y, Cologne JB, MacPhee DG, Chromosomal instability in BRCA1- or BRCA2-defective human cancer cells detected by spontaneous micronucleus assay, pp 15-23, Copyright (2001), Elsevier Scienceの許可を得て掲載。 Mutation Researchホームページ