放影研報告書(RR) 20-02

広島・長崎の寿命調査集団における野菜および果物摂取とがん死亡率

Sauvaget C, 永野 純, 林 美希子, Spencer E, 清水由紀子, Allen N
Br J Cancer 88(5):689-94, 2003

要約

緑黄色野菜および果物の摂取とがん死亡リスクの関連について、広島・長崎の原爆被爆者38,540人の男女について前向き調査を実施した。調査対象者は1980-1981年に実施した食習慣に関する質問票に回答した人で、この集団のがん死亡について1998年3月まで追跡調査を行ったところ、その期間中に3,136件のがん死亡が確認された。毎日あるいはほぼ毎日果物を摂取した場合、全がん死亡率において有意な12%の減少が見られた(1週間に1回以下の摂取と比較すると、毎日摂取した場合の相対リスク[RR]は0.88、95%信頼区間[CI]は0.80-0.96)。毎日あるいはほぼ毎日緑黄色野菜を摂取した場合は、全がん死亡率においてわずかに有意な8%の減少が見られた(RR=0.92、95% CI 0.94-1.01)。緑黄色野菜の摂取は、肝臓がん死亡率の有意な減少に関連していた(RR=0.75、95% CI 0.60-0.95)。果物の摂取は、胃がんおよび肺がんによる死亡リスクの有意な減少に関連していた(RR=0.80、95% CI 0.65-0.98)。緑黄色野菜および果物の摂取は食道がんの減少に関連していたが、統計的に有意ではなかった。また、緑黄色野菜および果物の摂取のいずれも、大腸がんや乳がんの死亡率とは関連がなかった。以上の結果は、果物と野菜を毎日摂取すると全がんリスク、特に胃がん、肝臓がんおよび肺がんのリスクが減少するというこれまでの研究結果を支持するものである。

戻る