放影研報告書(RR) 13-03

ブルガダ型心電図を有する人の臨床的特徴:症例対照研究

松尾清隆, 赤星正純, 中島栄二, 瀬戸信二, 矢野捷介
J Cardiovasc Electrophysiol 15:653-7, 2004

要約

緒言

右側胸部誘導において、終末r’波にST部分の上昇を伴っているブルガダ型心電図は、非常にまれなものではない。日本および諸外国でもほとんどの症例は男性である。しかし、これらの症例の臨床的特徴に関する情報は少ない。本研究の目的は、日本人男性でブルガダ型心電図を有する症例の臨床的特徴を明らかにすることである。

方法と結果

日本の長崎で1958年から2001年にかけて2年ごとに追跡調査された 3,374人の男性からブルガダ型心電図を有する症例を抽出し、これらの症例と、それぞれの症例に対して年齢をマッチさせた男性4人の対照との間で、診断が確定した時の臨床的特徴を比較した。追跡期間中に、合計34例のブルガダ型心電図を有する症例が観察された。診断確定時の肥満度(BMI)は、ブルガダ型心電図症例の方が 136例の対照よりも有意に低値であった(20.2±2.1 kg/m2対21.8±2.8 kg/m2P=0.003)。症例のBMI経過は、8年間の観察期間(診断確定4年前から診断確定4年後)を通して、常に対照よりも低値であった。診断確定時の心拍数も、ブルガダ型心電図症例で、対照より幾分低値であった(68.9±7.7拍/分 対 72.7±11.1拍/分、P=0.038)。この有意差は、BMI(P=0.131)あるいは体重(P=0.153)を解析に加えると消失した。

結語

ブルガダ型心電図を有する症例は、対照よりBMIが低かった。このことは、この関連に焦点を当てたブルガダ型心電図発現についての考えられ得る基礎的機序への手掛かりを与えるものと思われる。 Matsuo K, Akahoshi M, Nakashima E, Seto S, Yano K: Clinical characteristics of subjects with the Brugada-type electrocardiogram: A case control study. J Cardiovasc Electrophysiol 15:653-7, 2004. 要約は出版社(Blackwell Publishing)の許可を得て翻訳した。  

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