放影研報告書(RR) 10-04

日本人女性コホートにおける閉経期の卵胞刺激ホルモン値ならびにエストラジオール値

山田美智子, 早田みどり, 藤原佐枝子
Int J Clin Pract 62(10):1623-7, 2008

要約

背景

閉経期の卵胞刺激ホルモン(FSH)値ならびにエストラジオール(E2)値に関して白人集団以外での縦断的研究は不足している。

目的

日本人コホートでの閉経期のFSH値ならびにE2値を調べる。

研究デザインと設定

成人健康調査は住民ベースの縦断的研究である。この調査集団の閉経期の女性を1993年から2003年にわたって追跡した。

対象者と主要測定項目

閉経に至っていない47-54歳の女性のFSH値とE2値を6カ月ごとに測定した。最終月経から3カ月以内にFSH値とE2値が測定された89人の女性について、最終月経の前後21カ月間のFSH値とE2値の経時変化が6カ月間隔で測定された。

結果

最終月経から3カ月以内のFSH値とE2値は広い分布幅を示した。年齢や体重、無月経期間によってFSH値とE2値に差はなかった。閉経期にFSH値は増加し、E2値は減少したが、個人あるいは個人間のホルモン値の分布幅が広く、個人の変動は必ずしも一方向ではないので、一時点でのFSH値やE2値は信頼性のある生物学的閉経の指標とはならなかった。

結論

50歳前後で自然閉経に至った日本人女性において、個人あるいは個人間のホルモン値の変動は閉経期を通じて大きく、最終月経後約2年で生化学的閉経の特徴である高FSH値、低E2値に収束する。 要約は出版社(Blackwell Publishing Ltd.)の許可を得て翻訳した。

戻る