放影研報告書(RR) 12-04
日本の原爆被爆者における生活習慣要因および放射線と胃がん
Sauvaget C, Lagarde FAA, 永野 純, 早田みどり, 小山幸次郎, 児玉和紀
Cancer Causes Control 16(7):773-80, 2005
要約
目的
喫煙、飲酒、食事などの生活習慣要因ならびに原爆放射線被曝と胃がん罹患率との関連について検討する。
方法
広島・長崎の38,576人の原爆被爆者を対象として、1980年から1999年にかけて追跡した縦断調査である。個人線量は1986年線量推定方式(DS86)により推定した。生活習慣要因は、本調査開始前に送付された郵便調査の回答によるものである。485,575人年の追跡調査において、1,270例の胃がん罹患を確認した。罹患率比の推定にはポワソン回帰を用いた。
結果
電離放射線被曝、性別(男性)、年齢および喫煙が、胃がんリスクの増加と有意に関連していた。果物、野菜、緑茶および大豆製品の摂取頻度と胃がんとの関連は示唆されなかった。
結論
今回の研究対象となった日本人集団では、放射線と喫煙は胃がんの強力な危険因子であったものの、食事要因の影響を示唆する証拠は得られなかった。