放影研報告書(RR) 19-04

日本における関節リウマチの死亡率:縦断的コホート研究

箱田雅之, 大岩 寛, 笠置文善, 増成直美, 山田美智子, 鈴木 元, 藤原佐枝子
Ann Rheum Dis 64(10):1451-5, 2005

要約

目的

日本人における関節リウマチ(RA)の死亡リスクを、合併疾患を含む生活習慣および身体因子を考慮に入れた解析で明らかにする。

方法

1958年から1966年にかけて行われた 16,119人の原爆被爆者コホートを対象とした調査によって、91人のRAを確認した。これらのRA患者および残りの非RA集団における死亡を1999年まで追跡調査した。Cox比例ハザードモデルを用いてRA患者の死亡リスクを推定した。性、年齢に加え、喫煙、飲酒、血圧、合併疾患などの生活習慣および身体因子を調整因子として、総死亡および原因疾患別死亡の解析を行った。

結果

RA患者のうち83人(91.2%)、非RA集団のうち 8,527人(52.9%)の死亡が確認された。平均観察期間はRA患者で17.8年、非RA集団では28.0年であった。性と年齢を調整したRA患者の死亡ハザード比は1.60(95%信頼区間[95% CI]、1.29-1.99、p<0.001)であった。生活習慣および身体因子を含む多因子の調整を行っても同様の結果が得られ、ハザード比は1.57(95% CI、1.25-1.94、p<0.001)であった。死亡リスクは男性RA患者において女性患者より高い傾向にあったが、その差は有意ではなかった。死因としては、肺炎、結核、肝疾患がRA患者において有意に増加していた。

結論

RAは死亡の独立した危険因子である。感染症がRAにおける死亡率の増加と関連していた。 BMJ Publishing Groupの許可を得て翻訳した。

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