放影研報告書(RR) 11-05

40年以上の観察期間中に新規発生した完全左脚ブロックの予後

今西 亮, 瀬戸信二, 市丸晋一郎, 中島栄二, 矢野捷介, 赤星正純
Am J Cardiol 98(5):644-8, 2006

要約

この症例対照研究は、完全左脚ブロック(LBBB)の発症率と死亡率を評価するために計画された。1958年から2002年にかけて、心電図および心胸郭比測定を含む2年に一度の健診を受けた 17,361人(男性6,663人、女性10,698人)について調査した。計110例(男性41例、女性69例)の新規発症LBBB症例が認められ、その基礎的特徴を、性と年齢を一致させた 456例(男性156例、女性300例)の対照例と比較した。また、LBBBと全死亡あるいは原因別死亡との関係について、年齢、性および基礎疾患を調整したCox比例ハザードモデルを用いて調べた。LBBB診断時年齢は男性 69.6±10.0歳、女性 68.3±10.9歳で、LBBBの発症率は年齢と共に増加した。また、基礎疾患として高血圧および虚血性心疾患がLBBBと関係していた。心胸郭比は、LBBB症例と対照例とでLBBB診断時には顕著に異なっていた。LBBB診断前の心電図所見としては、左心室肥大とST-T異常がLBBB症例に高率で含まれていた。Cox解析において、LBBBは全死亡は予測しなかったが、うっ血性心不全による死亡を予測した。結論として、LBBB診断時の患者の平均年齢は比較的高齢で、LBBB発生率は加齢と共に増加した。高血圧、虚血性心疾患、左心室肥大、ST-T異常および心胸郭比増大はLBBBと関係していた。LBBBは年齢、性、基礎疾患とは独立して、心不全による死亡を予測したが、全死亡は予測しなかった。 Am J Cardiol, 98(5):644-8.2006, Imanishi R, Seto S. Ichimaru S. Nakashima E, Yano K, Akahoshi M, Prognostic significance of incident complete left bundle branch block observed over a 40-year period, © 2006 Elsevier Inc. の許可を得て掲載。Am J Cadiol Home Page

戻る