放影研報告書(RR) 4-06

XPA DNA修復遺伝子に創始者変異をヘテロに有する人が日本人集団の約1%を占める

平井裕子, 児玉喜明, 森脇真一, 野田朝男, Cullings HM, MacPhee DG, 児玉和紀, 馬淵清彦, Kraemer KH, Land CE, 中村 典
Mutat Res 601(1-2):171-8, 2006

要約

常染色体上にあるDNA修復遺伝子に突然変異を生じると、ホモ接合体の場合にはがんのリスクが大変高くなる。しかしながら、その遺伝子変異のヘテロ接合体(保因者)においては、がんになりやすいか否かはよく分かっていない。この課題に取り組むために、日本における色素性乾皮症(XP)は、次に挙げる主な 3点の理由により興味が持たれる。すなわち、XPは、皮膚がんのリスクが非常に高いことで特徴づけられる常染色体劣性の遺伝病であり、他の国に比べ日本ではXP患者の頻度が高く、患者の半数以上がXPA遺伝子の創始者変異に関するホモ接合体である。そこで今回我々は、創始者変異を有するXPAヘテロ接合体を特異的に検出する簡単なPCR-RFLP法を改良して、広島と長崎に在住していた日本人の保存血液試料をスクリーニングした。1,020人中 9人がXPAヘテロ接合体と同定され、その頻度は 0.88%であった。もしこの頻度が日本人を代表する値であると考えるならば、日本人集団にはXPAの創始者変異を有する保因者が約100万人も存在することになる。従って、これらの人のがんリスクの研究が十分可能であると言える。 Mutat Res 2006;601:171-8, Hirai Y, Kodama Y, Moriwaki S, Noda A, Cullings HM, MacPhee DG, Kodama K, Mabuchi K, Kraemer KH, Land CE, Nakamura N, Heterozygous individuals bearing a founder mutation in the XPA DNA repair gene comprise nearly 1% of the Japanese population, © 2006 Elsevier B.V. の許可を得て掲載。

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