放影研報告書(RR) 16-06

日本人集団において白血球数、特に好中球数は高血圧の発症を予知する

立川佳美, Hsu WL, 山田美智子, Cologne JB, 鈴木 元, 山本秀也, 山根公則, 赤星正純, 藤原佐枝子, 河野修興
Hypertens Res 31(7):1391-7, 2008

要約

白血球高値が高血圧のリスク因子の一つであることは幾つかの研究で示されているが、白血球数と高血圧発症との関係は日本人においては明らかでなく、また白血球分画の高血圧発症への影響は不明である。本研究の目的は、白血球数およびその分画が日本人において高血圧の発症を予知するかどうかを検証することである。高血圧の既往がなく、正常範囲内(3,000-<10,000/mm3)の白血球数を有していた9,383人(男性3,356人、女性6,027人)を1965年から2004年まで追跡した。40年の追跡期間中、4,606人が高血圧を発症した。女性では、時間に依存しない共変量および時間依存性共変量を用いたCox比例ハザードモデルのいずれの解析でも、白血球増加と高血圧発症との間には、喫煙など通常のリスク因子を調整後も有意な関連が見られた。男性では時間依存性共変量を用いたCox比例ハザードモデルでのみ、白血球増加は高血圧発症の有意なリスク因子であった。白血球分画の検討では、女性において好中球増加は高血圧の発症と有意に関連していた。女性でのリスク因子をすべて調整後の高血圧発症の相対リスクは、好中球数4分位の最下位から最上位に対し、1.00、1.18、1.28、1.22 (トレンド検定 p < 0.001)であった。結論として、日本人、特に女性において白血球数増加は高血圧発症を予知するものであった。更に、白血球分画の中では好中球が高血圧発症リスクの増加に最も寄与していた。 The Japan Society of Hypertensionの許可を得て掲載。

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