業績報告書(TR) 10-86

Ascaris suumから抽出されたヒトリンパ球細胞分裂促進因子

笹川澄子,鈴木和男,藤倉敏夫

編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。Exp Parasitol 64:71-7, 1987

要 約
Ascaris suum抽出液(ASE)はヒトリンパ球を刺激する細胞分裂促進因子を含むことが見いだされた。ASE(100μg protein/ml)はヒトリンパ球の〔3H〕チミジン取り込みの増加を誘発した。それはポークウィードマイトジェン(11μg/ml)の細胞分裂促進作用に匹敵し、また非Tリンパ球よりTリンパ球に対してより効果的であるように思われた。ASEの細胞分裂促進活性は、56℃で 30分処理あるいは沸騰水中で 1分処理を行ったとき 27%の活性低下を示したにすぎなかった。ASEは Sephacryl S-200カラムクロマトグラフィーによって4つの蛋白質ピークに分けられた。リンパ球細胞分裂促進活性は最初の蛋白質ピークの前半部分に観察された。ラット受動皮膚アナフィラキシー試験によって評価されたアレルゲン活性は同一ピークの後半部分に観察された。これらの結果は、ASEがアレルゲンと細胞分裂促進物質の両方を含むことを示唆する。


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