業績報告書(TR) 19-87

原爆被爆者の血液リンパ球の試験管内リンパ球混合培養反応の年齢および被曝線量による変化

秋山實利,周 藕良,楠洋一郎,京泉誠之,河野修興,秋葉澄伯,Delongchamp RR

編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。Radiat Res 117:26-34, 1989

要 約
被爆者 139名の末梢血リンパ球のアロ抗原に対する反応性をリンパ球混合培養(MLC)で測定した。原爆被爆者のMLC反応性は被曝線量が増加するにつれて有意に減少した。そしてこのMLC反応性の線量依存性の減少は、被爆時年齢が 15歳以上の被爆者において顕著であった。

この結果から、T細胞に関連した免疫機能の回復と免疫系に成熟T細胞を補給する器官である胸腺の機能との関係の可能性が示唆された。すなわち、被爆時に高年齢であった被爆者においては、胸腺の機能が既に退縮し始めているので、T細胞機能の回復がT細胞を十分補給できる若年時被爆者のそれに比べて低下しているのではないかと考えられた。

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