業績報告書(TR) 6-88
間質性肺炎の活動性を表す血清中の新しい指標。シアル化糖鎖抗原KL-6
河野修興,京泉誠之,粟屋幸一,福原弘文,山木戸道郎,秋山實利編集者注:この報告書に基づく論文は次に発表された。Chest 96:68-73,1989
要 約
シアル化糖鎖抗原に対するモノクローナル抗体KL-6を使用するサンドイッチアッセイで検出される高分子量の循環抗原KL-6の血清中の値が、間質性肺炎の活動性を監視するために有用であるかどうかが検討された。59例の間質性肺炎患者のうち、34例(58%)が血清中にKL-6抗原の異常高値を呈したが、血清KL-6抗原値とLDH活性の間には有意の相関を認めなかった。更に、KL-6抗原値は、67Ga-クエン酸シンチグラムや経過観察で測られた疾患の臨床的活動性の程度と正の相関を示した。これらのデータは、血清中KL-6抗原が異常高値を示す悪性あるいは非悪性の疾患から間質性肺炎を鑑別診断するためにその値を用いることはできないが、間質性肺炎の活動性の程度を推量するための新しい指標として血清KL-6抗原が有用であろうことを示唆している。
シアル化糖鎖抗原に対するモノクローナル抗体KL-6を使用するサンドイッチアッセイで検出される高分子量の循環抗原KL-6の血清中の値が、間質性肺炎の活動性を監視するために有用であるかどうかが検討された。59例の間質性肺炎患者のうち、34例(58%)が血清中にKL-6抗原の異常高値を呈したが、血清KL-6抗原値とLDH活性の間には有意の相関を認めなかった。更に、KL-6抗原値は、67Ga-クエン酸シンチグラムや経過観察で測られた疾患の臨床的活動性の程度と正の相関を示した。これらのデータは、血清中KL-6抗原が異常高値を示す悪性あるいは非悪性の疾患から間質性肺炎を鑑別診断するためにその値を用いることはできないが、間質性肺炎の活動性の程度を推量するための新しい指標として血清KL-6抗原が有用であろうことを示唆している。