業績報告書(TR) 22-88

広島・長崎の日本人における血液型Aの亜型不均衡と超活性B*遺伝子の存在

Hamilton HB,Yoshida A,Dave V

要 約
血液型Aは血清学的基準により亜型A1、A2及びA1とA2の中間型(Aint)に分類される。A2に比べA2Bの頻度が高いという傾向は白人では認められないが、一部の黒人集団及び日本人に認められ、これはA1及びA2対立遺伝子の遺伝形質に関する古典的なメンデルの法則と矛盾する。血清中の血液型A及びB酵素の特質を明らかにすることにより、一部黒人の血清型A2Bの血液は酵素A1、及び超活性酵素B*を含んでいることが示された。広島・長崎両市で 15,000人以上の調査を行ったところ、A2Bの過剰が認められたため、両市に居住する関連のない 13家族の 37人及びその他の関連のない 23人、合計60人の血液標本を用いて酵素A及びBの特質を調査した。血清学上明らかにA2Bと分類された 29人のうち、酵素調査により 15人はA2Bであることが確認された。9人は酵素A2及びBではなくA1及びB*を含んでおり、A1B*であった。2人は酵素Aint及びB*を含み、AintBであった。残り 3人の結果は明確でなかった. 血清型A2Bと酵素B*の頻度は広島と長崎で異なり、いずれも長崎が高かった。家族調査を実施した症例から判断すると、酵素B*の伝達は、メンデルの遺伝の法則に適合すると考えられる。日本人の血清型’A2B’の過剰は、少なくとも部分的には比較的高頻度なB*遺伝子の存在に起困するのかもしれない。

戻る