業績報告書(TR) 3-89

広島の原爆被爆者における喫煙と血清蛋白質の関連について

Stram DO,秋葉澄伯,錬石和男,Stevens RG,細田 裕

編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。Am J Epidemiol 131:1038-45,1990

要 約
1979-81年の期間に放影研の健康追跡調査である成人健康調査に参加した広島の原爆被爆者及び非被曝の対照者4,739人を対象に、喫煙習慣と血清総蛋白レベル及びその分画レベルとの関連を検討したところ、年齢、性、都市、肥満指数などを補正した後でも、喫煙と血清蛋白濃度との間に強い関連がみられた。喫煙者は非喫煙者に比ベ、総蛋白、βグロブリン、γグロブリンのレベルが有意に低く(p<0.001)、α1グロブリンとα2グロブリンのレベルが有意に高かった(p<0.001)。血清アルブミンレベルは減少する傾向が認められたものの統計学的に有意ではなかった。本報で解析された血清蛋白レベルに関する限り、禁煙者と非喫煙者との間に差は見いだし得なかった。また、α1グロブリンのみは、1日の紙巻煙草喫煙本数が上昇するとともに単調に増加していた。一方、α1、α2グロブリンレベルは喫煙期間(年)と共に上昇していた。喫煙期間はアルブミンレベルとも関連していたが、単調な増加又は減少傾向ではなかった。放射線被曝は幾つかの場合、血清蛋白レベルと有意に関連していたが、その影響は全般的に喫煙のそれに比べ弱く、回帰モデルにこれを含めても、喫煙と血清蛋白に関する結果に大きな変化はみられなかった。

戻る