充実性腫瘍および白血病の相対リスク
この記事は RERF Update 3(4):14, 1991に掲載されたものの翻訳です。
ここに示した 図 は、放影研寿命調査における充実性腫瘍および白血病発生(すべての病型を含む)の過剰リスクについて、線量反応と経時変化を比較したものである。25歳の広島の男性の場合のリスクを図に示した。左の図は被爆20年後のデータに線量反応をあてはめたものであり、右の図は1Svの線量に被ばくした後の経時変化を示している。
図 に示した曲線は、発生データにパラメトリック過剰相対リスク(ERR)モデルをあてはめたものである。充実性腫瘍のデータは1958-1987年のものである。ERRモデルは線量に対しては直線形で、性、被爆時年齢および被爆後経過年数の影響を含む。白血病のデータは1950-1987年のものである。ERRは線量の時間依存二次関数としてモデル化したもので、性および被爆時年齢の影響を含む。両モデルとも10という一定RBEを仮定した。
これらの図から、寿命調査集団における癌の過剰発生リスクの特徴を完全に把握することはできないが、白血病と充実性腫瘍のリスクの動向に顕著な差異があることは明らかであり、放射線影響を考察する上で、相対リスクと絶対リスクの両方を考慮することの重要性を示している。